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理事長挨拶

筑波大学医学医療系
木澤 義之

このたび日本緩和医療学会理事長に再任され、改めて責任の重さを感じています。新型コロナウイルス感染症の流行により、全世界が非常事態となっております。社会経済活動が停滞し、社会のあり方や生活の仕方が急速に変化しつつあります。学会のあり方も例外ではありません。本学会の理念と目的を再確認し、今後取り組むべき課題を明確にし、新体制のもと新たな2年間を始めていきたいと思います。

日本緩和医療学会の活動の目的は、その学術研究を始めとする活動によって、エンド・オブ・ライフケアの質を高め、重篤な疾患を持つ患者と家族のQOLとQODを向上させることだと考えています。従って、これからの2年間は、エンド・オブ・ライフケアの質の向上を目指し、以下の7つの活動に力を注ぎたいと考えています。

  1. 専門的緩和ケアのケア提供モデルの構築ならびに見直し(特にがん緩和ケアと腫瘍学の統合、がん以外の疾患に対する専門的緩和ケア、救急・集中治療領域の緩和ケア)
  2. 緩和ケアの質の測定と向上を継続的に行っていく仕組みの構築とその実践
  3. 緩和ケア、エンド・オブ・ライフケアに関する政府や社会に対する提言(例:生命維持治療の中止や差し控え、安楽死、ACPなどに関する意向表明など)
  4.  緩和ケアに関する学術・研究の充実(特に若手の研究に対する研究支援教育体制の構築、学際性のある大学講座の提案、混合研究法の推進)
  5.  緩和ケアの教育(特に疾患を限定しない基本的緩和ケアに関する教育体制の整備ならびに専門家の育成)
  6. 世界の人々がuniversal health coverageの一部としていつでもどこでも緩和ケアにアクセスできるように、アジア太平洋ホスピス緩和ケアネットワーク(APHN)と協力しアジアを中心とした緩和ケアの啓発と普及を図ること
  7. .学会事務局機能の強化、会員サービスの強化、オンライン化(ペーパーレス化)

緩和ケアの世界は大きな変換点を迎えています。高齢社会の進行とポスト・ウィズコロナ社会が一気に訪れつつあります。今こそ私達は変化を求められていると強く感じています。「より質の高い緩和ケアを、全てのSerious Illnessを対象に、多職種協働で」実践できるように全力を尽くしていきたいと思います。会員の皆様のご意見とご協力をお待ちしております。


掲載日:2020年9月11日