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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.80
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2018  80
Journal Club
ナーシングホームの進行期認知症患者と
その家族を対象としたケアの目標設定に関する介入の効果:ランダム化比較試験
東北大学大学院医学系研究科
保健学専攻緩和ケア看護学  清水 陽一

Hanson LC, Zimmerman S, Song MK, Lin FC, Rosemond C, Carey TS, Mitchell SL. Effect of the Goals of Care Intervention for Advanced Dementia: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2017 Jan 1;177(1):24-31.

【目的】
 ケアの目標設定のための意思決定支援ツールによる介入が、進行期認知症のナーシングホーム(以下、NH)利用者に対するコミュニケーションと緩和ケアの質を改善するかを明らかにすること。
【方法】
 2012年4月〜2014年9月に進行期認知症のNH利用者とその家族を対象とした、クラスターランダム化比較試験。介入群(11施設)では、家族に対して、1)ケアの目標設定のため意思決定支援ツール(18分間のVTRと質問リストを含むパンフレット)、2)1時間のトレーニングを受けたNHの医療者(看護師、ソーシャルワーカー、施術者、栄養士)による構造化された話し合いを提供した。対象群(11施設)では、認知症のある方との関わり方と通常のケアプランのためのミーティングに関するVTRを家族に提供した。
【結果】
 介入群151組、対照群151組から同意を得た。3カ月後の家族によるコミュニケーションの質(QOC)の評価は介入群で良く(QOC, 6.0 vs 5.6 p=.05)、特に終末期に関するコミュニケーションで良かった(QOC, 3.7 vs 3.0 p=.02)。医療者と家族のケア目標の一致度は3カ月後では差がなかったが、9カ月後では介入群で良かった(88.4% vs 71.2%, p=.001)。治療と選好との一貫性、症状管理、ケアの質に関する家族の評価は両群で差はなかった。一方で、介入群の方が治療計画の中に緩和ケアの内容を多く含み、事前指示書のある割合が高く、病院に運ばれた人は少なかった。9カ月後までのフォローにおいて生存期間については両群で有意差はなかった(調整後ハザード比:0.76、95%信頼区間:0.54-1.08、p=.13)。
【結論】
 NHの進行期認知症の利用者において、ケアの目標設定のための意思決定支援ツールは終末期におけるコミュニケーションを改善し緩和ケアプランを促すことが分かった。
【コメント】
 ケアの目標設定のための意思決定支援ツールをただ使うだけではなく、それを活用するためのコミュニケーション技術や態度に関する教育を医療者に行ったことが、医療者と家族とのコミュニケーションの質を高める結果に繋がったと解釈できる。

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