line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.80
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2018  80
Journal Club
複雑性悲嘆・うつの関連要因
東北大学大学院医学系研究科
保健学専攻 緩和ケア看護学分野  青山 真帆
Aoyama M, Sakaguchi Y, Morita T, Ogawa A, Fujisawa D, Kizawa Y, Tsuneto S, Shima Y, Miyashita M. Factors associated with possible complicated grief and major depressive disorders. Psychooncology. 2018 Mar;27(3):915-921. doi: 10.1002/pon.4610.

【目的】
 死別に関連した心理的健康障害に関して、複雑性悲嘆(CG)とうつ(MDD)は異なるものであるとされているものの、合併あるいは独立して症状を有することがあるが、その関連要因は明らかでなく、本研究で明らかにすることを目的とした。
【方法】
 2014年に実施された日本における大規模遺族調査であるJ-HOPE3研究の一部として実施された。全国175施設で死亡したがん患者遺族10,513名に質問紙を送付した。調査項目は人口統計学的要因の他、うつはPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)、f複雑性悲嘆はBrief Grief Questionnaire(BGQ)、ケアの構造とプロセスの評価はCare Evaluation Scale(CES)、望ましい死の達成度はGood Death Inventory(GDI)、ケアに対する全般的満足度だった。単変量および多変量解析を行い、関連要因を探索した。
【結果】
 有効回答率は67%(9,123名)だった。CGの推定有病率は14%、MDDは17%で、CGと推定された対象者の58%が同時にMDDとも推定された。CG、MDDに共通してみとめられた関連要因は、死別前からの精神疾患既往歴、肉体の死後に魂の存在を信じていること、死別に対する心の準備不足、介護時のからだ・こころの健康状態が良くないこと、患者が自分は他者の負担になっていると感じていると思っていたこと(すべてp<0.05)だった。多変量解析では、死別後経過時間には有意な差は認められなかった。
【結論】
 CGとMDDの関連要因には共通する項目も多く、異なるものであるとはいえ、両者の症状を同時に有することも多いことが確認された。
【コメント】
 本研究は、CG・MDDの症状を単独または混合して有する際の関連要因の類似・相違点を大規模サンプルで明らかにした初めての研究である。共通する関連要因は重要なリスクファクターと考えられ、死別前後に臨床的にも注意すべき項目と考えられる。死別後経過期間が有意に関連していなかった点については、先行研究の知見と異なり、個別的なアプローチの重要性が示唆された。

Close