line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.79
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2018  79
委員会活動報告
委託事業委員会
 −がん等における新たな緩和ケア研修等事業の進捗について−
委託事業委員会
委員長  上村 恵一

1.はじめに
 会員の皆さまにおかれましては、日頃から厚生労働省委託事業へのご協力いただき誠に感謝申し上げます。
 緩和ケア研修会については、2017年12月1日付けで新たに「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針(平成29年12月1日付け健発1201第2号厚生労働省健康局長通知の別添)」(以下、本開催指針という。)が定められました。
 本開催指針の策定を受け、委託事業委員会では、緩和ケア研修WPG内に緩和ケア研修モジュール検討WGを設置し、e-learningにおいても高い学習効果の得られる教材とそのシステム構築に取り組んでまいりました。
 本開催指針において、研修対象者は「がん等の診療に携わる医師・歯科医師を対象とする。また、これらの医師・歯科医師と協働し、緩和ケアに従事するその他の医療従事者も、参加することが望ましい。」と定められています。ここでいう、“その他の医療従事者”とは、医師・歯科医師の協力的参加者という意味合いが強いものの、集合研修を修了すれば全ての医療従事者に対して厚生労働省からの緩和ケア研修会の修了証書が発行されることとなりました。
 これまでの開催指針(「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成20年4月1日付け健発第0401016号厚生労働省健康局長通知の別添))における緩和ケア研修会教材は“2〜5年目の医師”を対象として作成されてきました。本来であれば、本開催指針の変更を受け、職種によって異なるe-learningの到達目標があるべきであると思われました。しかし、2018年度については新開催指針の発出からe-learning運用開始までの時間的都合から、これまで通り2〜5年目の医師を対象にしている教材をe-learning教材として準備しました。また、同教材を全ての医療従事者が学習し、理解が不十分な医療従事者に対しては繰り返し学習することで一定の到達目標に達することができるような仕組みとしました。さらに、集合研修においては医師・歯科医師以外の医療従事者は、緩和ケアにおいて医師・歯科医師とどのように協働していくかを学ぶことを学習目標としました。
 2019年度以降においては、e-learning教材は、職種によって異なり、それぞれの職種が緩和ケアの医師との協働に必要な学習目標に到達することを目的とする教材が作成されるべきであると考えるため、現在その検討を行うべく準備を進めています。なお、この際には、看護師、薬剤師の緩和ケア教育において一定の役割を果たしている研修会(ELNEC-Jコアカリキュラム(本学会主催)やPEOPLEプログラム(一般社団法人 日本緩和医療薬学会主催)など)との役割分担や共同について協議が必須であると考えています。
 会員各位におかれましては、引き続き本プロジェクトへの普及に関してご協力いただければ幸いです。

2.緩和ケア研修WPG(PEACE)
 開催指針が変更されたことを受け、緩和ケア研修WPGでは、@緩和ケア研修会教材の作成、A緩和ケア研修会e-learningシステムの構築、B新たな開催指針に沿った指導者の育成を行いました。
 緩和ケア研修会教材の作成では、新開催指針において研修対象者が変更となったことを受け、これに準拠するよう関連学会にも協力いただき、e-learningとなっても高い学習効果が得られる内容としました。
 緩和ケア研修会e-learningシステムの構築においては、学習のしやすさのみならず、新開催指針において新たに定められた、集合研修企画責任者が参加者のe-learning受講内容などを集合研修に活かせるようなシステムや、集合研修事務担当者がe-learningシステムへ出入力できるようなシステムの構築についても検討しました。
 新たな開催指針に沿った指導者の育成として、2017年度は3種類の研修会を実施しました。まずは、新開催指針に準拠した緩和ケア研修会を開催できる企画責任者を育成するための「第32回緩和ケアおよび精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会」を、2018年2月24日(土)にクロス・ウェーブ船橋にて実施しました。126名(緩和101名・精神25名)が修了しました。次に、指導者研修会修了者を対象として、新開催指針の変更内容などの周知を目的とした「緩和ケア研修会新開催指針周知のための指導者研修会」を2018年3月10日(土)に大阪府立国際会議場、2018年3月11日(日)に東京ビックサイトで実施しました。この研修会の模様は、指導者研修会修了者のみが閲覧できるサイト上にて動画配信されております。最後に、緩和ケア研修会新開催指針周知のための指導者研修会と同日に「精神腫瘍学指導者研修会修了者に対する集合研修企画責任者のための講習」を実施しました。これは、新開催指針にて新たに定められた、2016年度までの精神腫瘍学の基本教育のための指導者研修会を修了した者が集合研修企画責任者となるために修了が必要な「集合研修企画責任者のための講習」です。今回の講習では、122名の精神腫瘍学指導者研修会修了者が新たに集合研修企画責任者となりました。
 なお、第32回指導者研修会修了者および精神腫瘍学指導者研修会修了者に対する集合研修企画責任者のための講習修了者は、新開催指針に準拠した緩和ケア研修会の集合研修企画責任者となれますが、旧開催指針(「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成20年4月1日付け健発第0401016号厚生労働省健康局長通知の別添))の企画責任者にはなれないためご留意下さい。

3.緩和ケア普及啓発WPG(OBP)
 本年度は、「もっと知ろうよ!緩和ケア」をテーマに一般市民を対象とした街頭イベントおよび市民公開講座を実施しました。街頭イベントは、2017年12月3日(日)10時〜17時に兵庫県西宮市にある阪急西宮ガーデンズフェスティバルガーデンにて実施しました。緩和ケアをわかりやすく解説する“街かど緩和ケア講座”などのステージ観覧者は延べ759名でした。市民公開講座は、2018年1月14日(日)13時30分〜16時30分に東京都千代田区にあるイイノホールで実施しました。定員450名に対して525名の応募があり、その内396名が来場しました。本年度のイベントでは、幅広い世代、特に小さな子どもを持つ親世代に興味をもってもらうことを目的に株式会社サンリオに協力いただきハローキティのショーの実施やキャラクターをあしらったノベルティを配付するなどしました。

Close