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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.78
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2018  78
Journal Club
進行期がん患者の年齢と性別による早期緩和ケアの効果の違い
〔ランダム化比較試験(以下、RCT)の2次データ解析〕
東北大学大学院医学系研究科
保健学専攻緩和ケア看護学分野  清水 陽一

Nipp RD, El-Jawahri A, Traeger L, Jacobs JM, Gallagher ER, Park ER, Jackson VA, Pirl WF, Temel JS, Greer JA. Differential effects of early palliative care based on the age and sex of patients with advanced cancer from a randomized controlled trial. Palliat Med. 2018 Jan 1:269216317751893.

【目的】
 早期緩和ケアにより患者のQuality of Life(以下、QOL)や気分、コーピングといったアウトカムが改善するが、その効果が患者の背景情報の違いにより差があるかどうかを検討した。
【方法】
 350名の進行期がん患者(肺がん、大腸癌以外の消化器がん)を対象に実施された、通常の腫瘍内科によるケアに加えて早期緩和ケアを追加した群と通常のケア群を比較したRCTの2次データを利用。年齢(65歳以上かどうか)、性別の違いによって、QOL(Functional Assessment of Cancer Therapy-General(FACT-G))、抑うつ症状(Patient Health Questionnaire 9(PHQ-9))、コーピング(Brief COPE)に違いがあるかについて回帰分析を行った。
【結果】
 介入後24週の時点で、65歳未満の肺がん患者においては緩和ケア介入群において通常ケア群と比較して積極的なコーピングが増加(β=1.74、p=0.02)し回避的なコーピングが減少する(β=-0.97、p=0.02)傾向が確認されたが、65歳以上の方についてはコーピングの傾向に差はみられなかった。肺がんの男性患者においては緩和ケア介入群において、よりQOLが高く(β=9.31、p=0.01)、抑うつ症状が軽度である(β=-2.82、p=0.02)傾向が確認されたが、女性ではそのような傾向はなかった。消化器がんにおいては、性差や年齢による緩和ケア介入の効果に差はみられなかった。
【結論】
 肺がんにおいて、性差や年齢による早期緩和ケア介入の効果に差が確認された。早期緩和ケアを行う際には、患者の背景情報(性別や年齢、病状や病態など)に合わせた個別的な対応が必要である可能性がある。
【コメント】
 早期緩和ケアは、複合的な支援であり、性差や年齢による違いが具体的にどのようなところから生じたのか、そして、具体的にどのような支援を性差や年齢、疾患の違いによって提供すればいいのかについてさらに明らかにしていく必要性がある。今後、個別性に合わせたケアの指針などができると臨床実践に有意義であり普及していくと思われる。

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