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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.78
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2018  78
Journal Club
がんサバイバーの慢性疼痛マネジメントにおける
プライマリーケア医のニーズアセスメント
東北大学大学院医学系研究科
緩和ケア看護学分野  青山 真帆

Chow R, Saunders K, Burke H, Belanger A, Chow E. Needs assessment of primary care physicians in the management of chronic pain in cancer survivors. Support Care Cancer. 2017 Nov;25(11):3505-3514. doi: 10.1007/s00520-017-3774-9. Epub 2017 Jun 7.

【目的】
 効果的な抗がん治療や支持療法によって、がんの予後は向上している。慢性疼痛を抱える、治療を終えた緩和期ではないがんサバイバーの約30%はプライマリーケア医の疼痛管理をうけている。本研究の目的は、がんサバイバーの慢性疼痛マネジメントにおけるプライマリーケア医の診療内容や治療のバリアについて明らかにすることである。
【方法】
 カナダ全土のプライマリーケア医12,000名に16項目の質問紙をFAXで送付した。
【結果】
 161名から回答があり、平均診療経験年数は25年、71%が10,000-100,000名規模の地域で診療を行っていた。がんサバイバーの診察人数は、平均で1カ月10名程度だった。回答者数の59%ががんサバイバーの慢性疼痛マネジメントについて「あまり理解していない/少し理解している」と回答した。治療選択に影響する要因としては、患者の合併疾患(79%)、鎮痛薬の副作用(78%)、痛みによる日常生活への影響(75%)、薬物相互作用(71%)だった。主なバリアは、薬価(54%)、オピオイド乱用への懸念(51%)、患者のコンプライアンスの低さ(46%)だった。慢性疼痛のマネジメントの助けになると回答されたのは、治療ガイドライン(74%)、薬物療法(64%)および非薬物療法(62%)に対する知識だった。
【結論】
 多くのプライマリーケア医は、がんサバイバーの慢性疼痛のマネジメントに対する知識の欠如を報告しているものの、治療に関する教育やガイドラインによって知識や情報を得ることには意欲的であった。
【コメント】
 本研究は、カナダにおいて、基本的緩和ケアの提供元である多くのプライマリーケア医のがんに関連する慢性疼痛マネジメントの臨床上のニーズや実態を明らかにした。わが国はカナダと医療体制は異なるものの、多くのがんサバイバーの診療は外来で行われており、状況が類似している点は多くあると考えられる。しかし、本研究は回答率が1.3%程度と著しく低く、代表性には欠けるサンプルである点が、主な限界であると考えられる。

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