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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.78
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2018  78
Journal Club
アジア太平洋地域のがんサバイバーの支持療法ニード、QOL、症状
名古屋大学大学院医学系研究科
看護学専攻基礎・臨床看護学講座  佐藤 一樹

Molassiotis A, Yates P, Li Q, So WKW, Pongthavornkamol K, Pittayapan P, Komatsu H, Thandar M, Li MS, Titus Chacko S, Lopez V, Butcon J, Wyld D, Chan RJ ; STEP Study Collaborators. Mapping unmet supportive care needs, quality-of-life perceptions and current symptoms in cancer survivors across the Asia-Pacific region: results from the International STEP Study. Ann Oncol. 2017 Oct 1;28(10):2552-2558. PMID:28961835

【目的】
 アジア太平洋地域の国際共同調査により、各国のがんサバイバーの支持療法ニードの不充足(unmet need)、QOL、症状の実態や関連を明らかにする。
【方法】
 アジア太平洋地域の10カ国(地域)での横断調査を行った。初回治療終了後の成人がんサバイバーを対象とし、認知機能低下や終末期のサバイバーは除外した。主に首都圏の外来患者で調査し、対象者は便宜的サンプリングにより同定した。測定項目は支持療法ニードの不充足をCaSUNという評価尺度により評価し、QOLと症状は別のがんサバイバーニード不充足尺度であるCSSNの下位項目を使用した。解析は、サバイバーケアの進んだオーストラリアとの2国間比較、高所得国(オーストラリア、日本、韓国、香港、シンガポール)と低中所得国(ミャンマー、中国、タイ、フィリピン、インド)の比較、関連要因の検討を行った。
【結果】
 1,873名の有効回答を得た。
 支持療法ニードの不充足は、すべての国でオーストラリアより有意に評価が悪く、高所得国より低中所得国で有意に評価が悪かった。上位の5項目は再発不安、最良のがん治療、医療の地域差、チームケア、医師間の相談であった。
 QOL評価は、2国間比較と所得の群間比較ともに有意差がみられた。
 症状評価は、2国間比較と所得の群間比較ともに有意差がみられなかった。上位5項目は、倦怠感、活力低下、痛み、不眠、体重変化であった。
 支持療法ニードの不充足は、QOLや症状と関連し、若い、治療後早期、QOL自己評価低い、症状強い、化学療法や放射線治療を受けていない、血液がん、日本・オーストラリア以外でニードの不充足が高かった。
【結論】
 支持療法ニードの不充足は、低中所得国で高く、特に心理面やがん医療に関する項目で評価が悪かった。アジアの国々は、がんサバイバーケアの重要性を認識し、課題を克服するためのアクションプランを策定すべきである。
【コメント】
 がんサバイバーのunmet needに焦点をあてたアジアの国際的な実態調査である。わが国での結果はアジアの高所得国のなかでも評価の高い方であった。がん対策推進基本計画で「がんとの共生」が分野別施策の3本柱の1つとして位置づけられ、国としてサバイバーケアのアクションプランを描けていることが良い結果につながったと考えられる。しかし、オーストラリアとの比較では、評価が劣っており、がんサバイバーケアは、まだ改善の必要性がある。

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