Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.63
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2014  63
Journal Club
がんと診断後、早期からの看護師による電話介入効果:無作為化比較試験
東北大学大学院 緩和ケア看護学分野  菅野 雄介
Wagner EH, Ludman EJ, Aiello Bowles EJ, Penfold R, Reid RJ, Rutter CM, Chubak J, McCorkle R.Nurse navigators in early cancer care: a randomized, controlled trial. J Clin Oncol. 2014 Jan 1;32(1):12-8.

【目的】
 がんと診断を受けた患者は、断片的な医療支援を受け治療選択を行っている。本研究では、がんと診断を受けた時点から一定期間、看護師がナビゲーターとなり電話ベースで症状マネジメントや情報提供を行うことで、患者のQOL、ケアの質が改善するかを無作為化比較試験で検討した。
【方法】
 National Cancer Institute-funded Cancer Communication Research Center の一部として、米国の4つ州で無作為化比較試験が行われた。対象は、原発部位が乳がん、結腸直腸がん、肺がんと診断された18歳以上の成人患者で、2009年7月から2011年9月までエントリーされた。133人が介入群、118人が通常ケア群に割り付けられた。介入群の患者は、看護師から電話で症状のスクリーニングを毎週受け、外来時には看護師が同席した。症状がみられた場合は、治療やケア計画の相談を看護師から受けた。主要評価項目は、患者のQOL評価(FACT-G)、受けた医療に対する患者の評価(PACIC)、ケアの問題点であり、ベースライン、4ヶ月後、12ヶ月後にデータ収集された。
【結果】
 介入群では4ヶ月後、12ヶ月後のFACT-Gの得点割合で通常ケア群と有意な差がみられなかったが、PACICの得点割合は有意に高かった。看護師の電話介入を受けた患者は、精神的なケア、ケアの調整、情報提供において問題があると回答した割合が有意に少なかった。また、診断後の医療費において、両群で有意な差はみられなかったが、部位別では、介入群の肺癌患者で6,852ドル低かった。
【結論】
 本研究で実施された、がんと診断後、早期から看護師による電話介入は患者のQOLで統計的に有意な差がみられなかったが、患者のケアの質を有意に改善した。
【コメント】
 本研究は、がんと診断された患者に対し、看護師による電話介入により通常ケア群と比べ高い割合でケアの質を改善したことに意義がある。看護師の電話介入に関する研究では、電話ベースの症状マネジメントで疼痛と抑うつの軽減に効果があることが示されており(Kroneke K,2010)、本研究結果は、がんと診断後、早期から電話介入した場合の有用性について新たな知見を追加した。本研究では、患者のQOLにおいて介入効果が示せなかったが、診断後の治療の有無でQOLの評価に影響がみられることが推察されるため、評価時点も含めさらなる検討が期待される。

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