Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.63
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2014  63
Journal Club
本邦における、緩和ケアチームに配属されている薬剤師の業務内容に関する全国調査
日本医科大学付属病院薬剤部  伊勢 雄也
Ise Y, Morita T, Katayama S, Kizawa Y. The activity of palliative care team pharmacists in designated cancer hospitals: a nationwide survey in Japan. J Pain Symptom Manage. 2014 March; 47(3):588-93

【目的】
 緩和医療の分野においては薬剤師が医療チームの一員として薬物療法等の分野で評価を得つつある。しかし、緩和ケアチームの中で薬剤師が薬物療法のスペシャリストとしてどのような業務体制で実務を行っているかについて、全国規模で調査した報告はない。そこで本研究では、緩和ケアチームに配属されている薬剤師の業務体制やその内容(臨床、研究および教育活動や緩和ケアチームへの貢献度)に関する調査を行うことにより、緩和ケアチームにおける薬剤師業務の実態を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 がん診療連携拠点病院(397施設)の緩和ケアチームに配属されている薬剤師を対象として調査を行なった。なお、1つのチームに薬剤師が複数在籍している場合は、代表薬剤師が他の薬剤師と話し合い調査票を記入することとした。各施設に自記式質問紙調査票を郵送し、一定期間後に返信してもらった。なお、本調査は2012年11月〜2013年1月に行われた。
【結果】
 304施設より回答があり、回収率は約77%であった。79%の施設で薬剤師がラウンドへ参加しており94%の施設で薬剤師がカンファレンスへ参加していた。半数以上の施設において、オピオイド製剤の副作用対策、疼痛以外の症状緩和で用いられる薬剤の情報提供、オピオイド製剤の剤形とその特徴、薬理作用、相互作用および腎/肝機能障害時における投与設計に関する情報提供が週に3回以上行われていた。約8割の施設において、他職種に対する緩和医療に関連した勉強会を薬剤師が開催していた。加えて約6割の施設において、緩和ケアに関する研究結果の学会・研究会への発表を薬剤師が筆頭演者で発表していた。約7割の薬剤師が緩和ケアチームに貢献している、と回答していた。その一方で、貢献できていないと回答した薬剤師も16%いた。原因として、時間やスタッフ数が足りないとの回答が多かった。
【結論】
 多くの薬剤師が「チームに貢献している」と回答しており、また一定の臨床活動がなされていたことから、薬剤師の緩和ケアチーム内での業務が浸透してきたと考えられた。また、臨床活動だけでなく、教育活動や研究活動(学会発表)にも力を入れている可能性が考えられた。
【コメント】
 本調査のように緩和ケアチームにおける薬剤師の業務内容を詳細に検討した報告はこれまでになく、緩和ケアチーム内における薬剤師の役割を評価、検討する貴重な報告であると考える。

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