Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.62
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2014  62
学会印象記
7th international meeting of the Society on Sarcopenia,
Cachexia and Wasting Disease 参加印象記
藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療学講座  森 直治
 Society on Sarcopenia, Cachexia and Wasting Disease(SCWD)は、がんや慢性疾患、加齢によって生ずる筋肉量の減少、悪液質の病態解明や克服を目指す国際学会で、学術大会は隔年で世界の主要都市で開催されている。第7回ミーティング(学術大会)は2013年12月9日から3日間、グレリン研究の第一人者である鹿児島大学大学院心身内科学分野教授 乾明夫先生が大会長のもと、神戸で開催された。もともと第6回大会が2011年に同じ神戸で開催予定であったが、東日本大震災の影響でミラノに変更となり、第7回が待望の日本での開催となった。神戸ポートピアホテルの2つの会場で、基礎系と臨床系のトラックに分かれ、食欲不振、筋肉量、悪液質の指標、メカニズム、治療戦略などについてレクチャーや口演発表が、また別の2会場でポスター発表がおこなわれ、早朝から夕方まで最新の知見に基づいたホットなディスカッションが繰り広げられた。臨床栄養や緩和ケア、がん治療に携わる医師のみならず様々な職種、そして基礎研究者が参加し、最終的な参加人数は400名弱で、世界中の名高い第一線の研究者が一堂に会し、ハイレベルながらアットホームな雰囲気で、あっという間に3日間が過ぎた。残念ながら参加者の多くが外国からで、日本人の発表者、参加者は少なく、まるでヨーロッパの学会に参加していると錯覚するほどであった。英語をoffi cial language とした国際学会で、参加費が高額であったことも一因であろうが、日本での悪液質、サルコペニアに対する認識の遅れも影響していると考えられ、今後の啓発活動の必要性を痛感した。そんな中、初日のスタートにあたり藤田保健衛生大学外科・緩和医療学講座の東口志教授、また二日目には同講座、二村昭彦先生のランチョンセミナーがプログラムされ、日本における悪液質研究を世界に向け大いにアピールする機会となった。悪液質、サルコペニアの克服は、がん、加齢を含めた慢性消耗性疾患の生活の質や予後の改善を考える上での最重要課題である。がん患者の筋肉量、タンパク量を温存することが免疫力、抗がん治療への忍容性を高め、「歩くこと」、「食べること」、「話すこと」を維持し、倦怠感の出現を予防する。日本緩和医療学会においても、この領域の話題が多く取り上げられ、また、2015年12月にパリで開催される第8回大会で、日本からの演題、参加者が少しでも増えることを期待したい。

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