Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.62
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2014  62
学会印象記
ホスピス緩和ケア韓国協会(KSHPC)での発表機会をいただいて
社会保険中京病院 緩和支持治療科  吉本 鉄介
 2013年12月6日にKSHPC Winter Congress がソウルで開催され、日韓台の緩和学会国際交流として『日本における緩和ケアチーム(PCT)の経験』というテーマで40分のレクチャーをする機会をいただいた。隣国とはいえ外国から招聘スピーカーとして(カタカナ英語ではありましたが)プレゼンするという、一生で初めてで、きっと最後の貴重な体験ができました。推薦していただいたJSPMの方々、暖かいホスピタリティで迎えてくれたKSHPCの方々には心から感謝します、特に初対面で「韓国人も英語下手だから」と言ってくれたMSW、Kim 女史の優しい笑顔が忘れられません。
 発表前の予習情報はこんな感じでした。KSHPCは1998年に世界ホスピス緩和ケア協会ISHPCの支部として設立、年2回(夏と冬)に1日日程で開催。会場は国際認証JCIをもつ1200床(地上22階、地下6階、ホスピス16床)の巨大病院カソリック大学ソウル聖母病院でした。レクチャーは台湾のWang 先生による「台湾における緩和ケアの促進事業の歩み」と縦並びシンポ形式で持ち時間40分ずつ(われわれのシンポ以外は全部韓国語)。韓国では家族愛が強いためか適応の乏しい延命医療が進行がん患者を対象として、ICUや急性期病棟で行われる頻度が高く、これらが全医療費の半分近くを占め、かつ増加傾向にある。シンポの目的は、がん治療施設において健康保険でカバーしたPCTを普及させている日本、事前指示や緩和医療を国全体のシステムとして計画的に促進してきた台湾からの2情報を学会として発信する事と思われた。聖母病院のホスピススタッフの方々は「散在型ホスピス」として一般病床でホスピスケアを提供しているものの、治療期から介入できるPCTやLiving Will 取得を組み込んだ医療システムを必要としておられるようでした。
 散在型ホスピス活動でがんばっている医師やナースに何を伝える事ができるのか?と考えつつPM2.5に煙る仁川空港から韓国入りしたわけですが、結局は日本のPCT医療体制の解説はハンドアウトに詳述し、40分間はひたすら毎日PCT医師として頭脳格闘技をしている「体験」、患者さんからの「学び」の伝道に徹しました。メッセージは4つ「見逃しは許されない、系統的に」「困る前に準備!」「依頼ない患者さんに目を配ろう」、「生活やQOL(幸せの度合い)視点からモノがみえるナースと仲良く」、でした。合計3回は「笑いがとれた」事と韓国ナースから「こういう講義、待ってた!」と言われたのが良い思い出になりました。次のWang 先生は(対照的に)流暢な英語で理路整然と台湾での緩和ケアがシステムとして確立してきた経過を話されたのですが、まさに「聞きたかった」情報として質問が相次ぎました。韓国も台湾も緩和ケアを経済や社会システムの一部としてとらえる態度がとても鮮明で、各個の努力に甘えがちな日本にはないセンスを痛感しました。民族性の差だけでなく、常時敵国と対峙している緊張感のせいなのかな、と思いつつ檀上で議論をきいていました。
 以上、国際交流により日韓台3か国の緩和ケアがお互いの長所を学びあい発展することをハングルに負けない熱い言葉、名古屋弁が飛び交う医療の最前線より祈りつつレポートを終わります。

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