Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.62
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2014  62
Journal Club
乳がん骨転移患者におけるゾレドロン酸の12週毎投与と4週毎投与の比較
神戸大学大学院医学研究科 先端緩和医療学分野  山口 崇

Amadori D,Aglietta M,Alessi B,Gianni L,Ibrahim T, Farina G,Gaion F,Bertoldo F,Santini D,Rondena R,Bogani P,Ripamonti CI.Efficacy and safety of 12-weekly versus 4-weekly zoledronic acid for prolonged treatment of patients with bone metastases from breast cancer (ZOOM): a phase 3,open-label, randomised, non-inferiority trial.Lancet Oncol. 2013 Jun;14(7):663-70.

【目的】
 投与頻度を少なくしたゾレドロン酸投与法が標準的投与法と同様の効果とより高いアドヒアランスと安全性を示せるかを探索する。
【方法】
 イタリアの62施設が参加した非盲検化無作為化非劣勢検証試験である。適格基準は、W期乳がんを罹患している18歳以上の女性、1つ以上の骨転移が画像で指摘されている、3-4週毎のゾレドロン酸投与を12-15カ月継続されている、の全てを満たすものとして。除外基準は、最終のゾレドロン酸投与から3カ月以上経過している、ゾレドロン酸以外のビスホスホネート製剤を使用している、Cr>3mg/dl、血清カルシウム<8mg/dlまたは>12mg/dl、活動性の歯科疾患、6週間以内もしくは今後予定されている歯科処置、とした。共治療は制限しなかった。
 参加者は、ゾレドロン酸4mgの12週毎投与群(12週毎投与群)と4週毎投与群(標準治療群)に1:1に無作為に割付けられた。両群ともカルシウム・Vit Dの補充を受けていた。
 腰椎もしくは腰椎以外の病的骨折、骨に対する放射線もしくは外科治療、脊髄圧迫、高Ca血症、のいずれかを発症した場合、骨関連事象と判断した。安静時及び体動時の疼痛は、6段階のVRSで測定した。
 主要評価項目は、人年当たりの骨関連事象発症数とし、ITT解析が行われた。
【結果】
 425例が登録され無作為に割付けされた(12週毎投与群209例、標準治療群216例)。両群の背景情報に有意差は認めなかった。観察期間の中央値は337日(範囲205-346日)であった。
 骨関連事象は、12週投与群で31例(15%)、標準治療群で33例(15%)であり、それぞれの発生頻度は0.26/人・年0.22/人・年であった。両群の差は0.04で、片方の97.5%CIの上限は0.17であり、12週群は非劣勢であった。両群で疼痛強度や鎮痛薬使用に有意差は認めなかった。
 副作用に関しては、12週毎投与群、標準投与群それぞれ21例(10%)、29(13%)で重篤な有害事象が報告された。
【結論】
 ゾレドロン酸4週間毎投与を1年継続した後の12週毎投与での維持療法で治療効果維持ができる可能性が示唆された。
【コメント】
 今回の試験では骨転移を有する乳がん患者のSRE予防目的のゾレドロン酸投与を12か月後以降の継続投与に関して12週毎投与が4週毎投与と同等の効果を示した。このことから、費用対効果の観点から乳がん患者に対してはゾレドロン酸の継続投与に関しては投与間隔を長く設定することは検討に値すると考えられるかもしれない。しかしながら、今回の研究は観察期間が12ヶ月に限られているので、それ以上の長期での効果に関しては情報がない。実際、骨代謝マーカーのNTx に関しては12週毎投与群で高値を示しているため、更なる長期に観察した場合にSRE発生に差が生じてくる可能性がある。また、乳がん以外のがん種での効果に関しては今後の検討が必要である。今回の研究結果を日常臨床で使用する際は、生命予後・経済的な状況・患者の希望などを踏まえて対応する必要がある。

Close