Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.62
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2014  62
Journal Club
一般病棟におけるLCPイタリア版の有用性の検証:層別無作為化比較試験
東北大学大学院 緩和ケア看護学分野  菅野 雄介

Costantini M,Romoli V,Leo SD,Beccaro M,Bono L, Pilastri P,Miccinesi G,Valenti D,Peruselli C,Bulli F,Franceschini C,Grubich S,Brunelli C,Martini C,Pellegrini F,Higginson IJ;the Liverpool Care Pathway Italian Cluster Trial Study Group. Liverpool Care Pathway for patients with cancer in hospital: a cluster randomised trial. Lancet.2013 Oct 11.pii:S0140-6736(13)61725-0.

【目的】
 看取りのケアのクリニカルパスLiverpool carepathway(LCP)は、有用性を保証するエビデンスがない。本研究では、がん患者の遺族からみて、LCPイタリア版(LCP-I)がEnd-of-Life(EOL)ケアの質を向上するか層別無作為化比較試験で検討した。
【方法】
 調査は、2009年11月〜2010年12月に行われた。イタリアの5地域で層別され、病院16施設がLCP-I介入群8施設、標準ケア群8施設に無作為に割り付けられた。LCP-I介入群の患者は、EOLケアの教育とLCP-Iの使用方法の教育および訓練を受けた医師と看護師からEOLケアを受けた。なお、LCP-I介入群の医師と看護師は、介入期間中LCP-Iの教育を受けた緩和ケアチームのサポートを受けた。主要評価項目は、患者家族ケアの合計得点(Toolkit after-death bereaved family member interview: Toolkit)であり、患者の死別後2〜4ヶ月以上経過した遺族にインタビュー調査を行った。
【結果】
 308人のがん患者がケアの対象となり、そのうち232人の遺族がインタビュー調査を受けた(介入群119人,対照群113人)。Toolkit の合計得点は、介入群は70.5/100点、対照群は63.0/100点で統計的に有意な差はみられなかった(クラスター調整平均差7.6(95%CI-3.6-18.7),P=0.186)。
【結論】
 本研究で実施されたLCP-Iは、がん患者の遺族による評価において有用性が示されなかった。
【コメント】
 本研究は、LCP-Iの有用性をPhaseT/Uから段階的に検証し、層別無作為化比較試験を行ったことに意義がある。結果はネガティブであったが、サンプルサイズの見積もりが十分に行われれば統計的に有意な差を検出できたかもしれない。
 本研究で重要な知見は、EOLやLCP-Iに関する教育の継続性である。LCP-Iは、LCP-Iを導入から運用まで包括的なプログラムであり、EOLやLCP-Iに関する教育も含まれる。教育では、医師と看護師を対象に3モジュール計12時間が2回繰り返されたが、同様なことを日本の一般病棟に外挿できるかどうかは疑問である。LCP-I介入群の病院の中でも、医師と看護師の受講率にバラツキが大きく見られることから、臨床現場に合わせた運用方法を検討する必要があるだろう。
 日本では、英国のLCPの動向を受け、日本独自の看取りのケアに関する包括的プログラムを現在開発中である。看取りのケアの教育を受けた医療者が看取りのケアの質を維持向上していくための包括的プログラムを検討する上で、本研究の知見は参考になると考える。

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