Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.62
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2014  62
Journal Club
死亡前1 年間における日常生活を制限する症状に関する前向きコホート研究
東北大学大学院 緩和ケア看護学分野  竹内 真帆

Chaudhry SI, Murphy TE, Gahbauer E, Sussman S, Allore HG, Gill TM. Restricting symptoms in the last year of life: a prospective cohort study.JAMA Intern Med. 2013 Sep 9;173(16):1534-40.

【目的】
 苦痛な症状がないことはGood Death 達成の決定因子であるといわれている。一般高齢者について、死亡前1 年間における日常生活を制限する身体的・精神的症状の出現頻度とその関連因子について明らかにすることを目的とした。
【方法】
 米国コネチカット州ニューヘイブンの70歳以上の健常な一般市民1002名を抽出し、症状の有無と内容について、18か月毎の包括的な訪問調査と1か月毎の電話インタビューによる前向きコホート調査を実施した。対象者の選定は1998〜1999年に行われ、2011年6月30日以前に死亡したものを解析の対象とし、754名が研究に参加した。体調等の理由で対象者本人へのインタビューが不可能な場合には、家族などの代理による評価を行った。本研究において調査した主な症状は、倦怠感、めまい、不安定感、記憶・思考力の低下、下肢の浮腫、感冒様症状、筋骨格痛、呼吸苦、抑うつ、不安、視力低下、上下肢の筋力低下、嘔気・嘔吐または下痢、排尿障害、不眠、胸痛の15症状であった。
【結果】
 491名が解析対象となった。死亡時年齢の平均は85.8歳、女性61.9%、非白人9.0%であった。73.1%が複数疾患を有していた。死因は老衰(28.1%)、臓器不全(20.8%)、がん(18.9%)の順に多かった。症状の出現頻度は倦怠感、筋骨格痛、めまい、呼吸苦の順に高かった。死亡前一年間の症状の出現頻度の変化については、死亡前5か月(27.4%)以降から増加しはじめ、死亡前1か月においては57.2%であった。多変量解析の結果、85歳未満(OR=1.30)、複数疾患合併(OR=1.38)、死亡までの時間(OR=1.14)が症状の出現と有意に関連していた。がんによる死亡は、突然死よりも月毎の症状の出現頻度が有意に高かった(p=0.04)。
【結論】
 死亡前1年間、特に死亡前5か月以降では、日常生活を制限する症状が多く出現する。本研究では、特に合併症を有する高齢者に対する症状のアセスメントと管理の重要性が強調された。
【コメント】
 終末期の身体的・精神的症状に関する先行研究においては、主にすでに何らかの医療ケアを受けている患者を対象としているが、健常な一般市民を対象とした大規模な前向きコホートである点に新規性がある。死亡前1年における入院や受診などの受けた医療の状況、療養場所など、交絡が考えられる要因については本研究では十分に検討がされていなかったため、今後のさらに詳細な検討が期待される。

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