Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.62
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2014  62
Current Insight
国際交流委員会の仕事
日本緩和医療学会 国際交流委員会 委員長  安部 能成
 1996年の創立以来18年、会員数が1万人を超える学術団体としてようやく、日本緩和医療学会にも国際交流委員会が発足した。より規模の小さな学会や研究会でも、国際交流を目的とした委員会を持っている組織、団体は多い。これまでも国際交流の必要性は指摘されていたが、今期の理事会および細川理事長のリーダーシップのもとに委員会が発足し、当該領域における国際社会において存在感を示すことが可能となった。国際的プレゼンスのなさをいわれている日本では、小さいながら有意義な前進である。
 その第1の責務は、緩和医療の領域における日本の代表学会として、同じ領域で活動している海外の学会、関連諸団体と交流する窓口となることである。当委員会の発足直後、すでに昨年の横浜での学術大会の時期には、隣国である韓国ならびに台湾の緩和ケア学会から相互交流の提案があった。その折の話し合いを受けて、先月初めには代表者がソウルに赴き、日本の緩和医療について報告を行うとともに、皮切りとなる国際交流を開始した。2014年は、本学会の神戸での学術大会に両国の代表をお招きするとともに、6月の台湾および12月の韓国におけるホスピス緩和ケア学会において、それぞれ3学会による相互訪問を行う予定となっている。
 第2の責務は、海外への情報発信である。これまでの関連学会の動向を拝見していると、国際交流とは言いながら海外からの招聘活動に終始する傾向が見られた。たしかに、海外の情報を得ることは重要ではある。しかしながら、一方向性では交流とは言い切れない。当委員会は、日本緩和医療学会の活動を国際社会に情報発信することから着手した。すでに昨年の学術大会の報告記事は英文にて当該領域の海外メディアに報告されており、欧州緩和ケア学会(European Association for Palliative Care:EAPC)および、オーストラリアのニューズレターに掲載された。本年はアジア太平洋ホスピスネットワーク(Asia Pacific Hospice Network:APHN)などの近隣諸国や北米などに情報発信を拡大していく方針である。
 その発信内容として検討されているものは、本学会が取り組んでいる諸々の事業である。たとえば、2010年から公刊されている各種の診療ガイドライン、OPTIM2011、OPTIM2012、オレンジバルーンプロジェクト、あるいはPEACE事業、すでに受賞歴のあるELNEC-Jの活動、緩和ケアチーム活動の手引き(第2版)などを英文化し、国際社会に向けて情報発信していくことを検討している。この他にも本学会においては情報発信すべき活動に取り組まれていると思われるので、不足の点については会員諸氏よりご指摘をいただければ幸いである。
 第3の責務は、海外の情報収集である。もちろん、インターネットの普及した現在、個人的に海外情報にアクセスしておられる会員は多いかもしれない。けれども、当該領域において普及し、スタンダード化つつある資料も散見されている。たとえば、上述のEAPCでは2009年以降、White Paper(緩和ケア白書)を公開している。すでに数ヵ国語に翻訳されており、欧州のみならずスペイン語版は南米にも広がっている。検討対象として理解しておく必要があるので、参考資料として日本語に翻訳し、PDFファイル化して会員諸氏に参考資料として提供する活動に取り組んでいる。
 当然のことながら本委員会は産声を上げたばかりであり、不十分な点が多々あることは承知している。幸い当委員会には、英国、カナダ、米国、オーストラリア、EAPCなどにおける緩和医療、緩和ケアの経験を持ち、その地域にはパイプのあるメンバーにご参集いただくことができた。本学会の特色を反映する職種としても医師、看護師、リハビリテーション専門職、ソーシャルワーカーなど多岐にわたっているので、最低限度のご期待にはお応えできるだけの人材を揃えることができたと考えている。会員諸氏のご批判、ご指摘を頂戴しながら、さらなる活動を展開していきたい。

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