Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
学会印象記
第6回日本スピリチュアルケア学会「緩和医療のチームにスピリチュアルケア専門職を」
〜日本で初めての学会認定「スピリチュアルケア師」誕生〜
日本スピリチュアルケア学会 理事  大下 大圓
 平成25年9月15日、東北大学において開催された第6回日本スピリチュアルケア学会学術大会において、学会理事長の日野原重明氏から「スピリチュアルケア師」の資格認定証が授与された。資格は「認定」「専門」「指導」の三種類で、各々69名、24名、39名が日本で初めてスピリチュアルケアの資格を得たことになる。
 この資格認定は、学会発足以降2008年から、学会理事会で議論され、同学会資格認定委員会の整備作業を通じて実現した。本資格認定は、学会会則第2条(目的)の「本会は、すべての人びとがスピリチュアリティを有しているという認識に基づき、スピリチュアルケアの学術的・学際的研究およびその発表と実践とを通して、スピリチュアルケアを含む全人格的なケアが社会のあらゆる場面で実践されるよう推進することを目的とする」との理念に基づき、日本におけるスピリチュアルケアの普及啓発と、専門性を有した人材の育成を目的としている。
 同学会の資格認定委員会は、まず、これまでスピリチュアルケアの理論と実践教育の養成講座を行ってきた国内の6団体(臨床パストラル教育研究センター、上智大学グリーフケア研究所、NPO法人日本スピリチュアルケアワーカー協会、臨床スピリチュアルケア協会、東京看とり人プロジェクト、高知がん患者支援推進協議会)を「認定プログラム」とし、それらのプログラム修了生の中から、各団体からの推薦者に対して、個人認定を行った。
 「認定プログラム」は、基礎領域(@思想・宗教・伝統・文化、A心理・力動・援助、B臨床専門職倫理)と専門領域(@スピリチュアリティ論、Aスピリチュアルケア論、Bグループワーク、C臨床スーパーヴィジョン、D臨床実習、Eスピリチュリティの涵養、F継続教育)などの分野での計300時間以上の教育の提供などが条件となっている。また今回認定された個人は、5年後の更新時までに一定時間数の臨床実践などの条件が課せられており、更なる専門性向上をめざすことになる。
 前述の目的にあるように、様々な臨床現場におけるスピリチュアルケアの普及と専門性の発揮が期待されているが、3種類の個人資格のうち、「認定」がそれぞれの臨床における活動資格基準となる。「専門」は、臨床活動と共に研究活動(学会等での研究発表、学術論文発表・専門書の発刊、講演会・研修会等の講師)を通して、スピリチュアルケア理論を深めるとともに、社会に対しての啓発の役割を担う。「指導」は、各「認定プログラム」において、スーパービジョンを担う立場にある者に対して与えられる資格である。
 今回、資格認定制度を発足するにあたり、学会独自のスピリチュアルケア人材育成プログラムを作成するのではなく、すでに国内で実施されてきたスピリチュアルケア人材育成の英知を結集し、より高い専門性を発揮できる資格認定制度に10年をかけて整えていく形をとった。
 本年の資格認定授与はその第一歩であったが、今後、さらなる多職種連携ケアの加速が予想される中、国内の病院や介護施設、在宅へのスピリチュアルケアの専門職導入に新たな道が開かれたと言える。また、心理系、宗教系大学でのスピリチュアルケア学の開講、開設にも弾みがつくことが期待される。

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