Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
Journal Club
終末期患者ケアでの医療者とのコミュニケーションと遺族の信頼感
(がん患者の子である遺族の全国調査)
東北大学大学院 緩和ケア看護学分野  菅野 雄介

Bylund Grenklo T,Kreicbergs UC,Valdimarsdottir UA,Nyberg T,Steineck G,Furst CJ.Communication and trust in the care provided to a dying parent: a nationwide study of cancer-bereaved youths.J Clin Oncol. 2013;31(23):2886-94.

【目的】
 本研究の目的は、親をがんで亡くした子供の遺族を対象に、医療者のEnd-of-Life Care の説明と親が受けられた医療に対する信頼感との関連を明らかにすることである。
【方法】
 スウェーデンの死亡登録データを使用した。2000〜2003年に親ががんで死亡した子供の遺族(当時13〜16 歳)851名に、2009〜2010年に自記式質問紙による郵送調査を行った。そのうち、調査に協力した子供の遺族593名(19〜25歳)を分析対象とした。主要評価項目は、死亡前1週間に親が受けた医療に対する信頼感と親の病状や死が近いことについて医師からの説明の有無や時期について尋ねた。質問紙は、著者らが作成し、表面妥当性を検証後に使用した。また、抑うつ症状の有無に関してPHQ-9で尋ねた。
【結果】
 親が受けた医療に対して信頼していた子供の遺族は、82%であった。多変量解析の結果、不信に感じた子供の遺族は、親が死亡する前に医師から説明を受けた子供の遺族と比べて、説明を受けていない(リスク比=2.5,95% CI:1.5-4.1)、死別後に説明を受けた(リスク比=3.2,95% CI1.7-5.9)、説明を受けたか不明(リスク比=1.7,95%CI:1.1-2.5)で有意に高かった。また、抑うつに関して、不信に感じた子供の遺族の方が有意に高かった(リスク比=2.2,95%CI:1.5-3.5)。
【結論】
 本研究により、子供の遺族は、親が亡くなる前に説明を受けることで、医療者のケアに対する信頼感が高まる可能性が示唆された。
【コメント】
 親の病状について、いつのタイミングで子供に伝えるべきかを大規模調査で示した研究である。子供の遺族は、当時13〜16歳であった。子供の悲嘆を考慮し、片親や親族だけに説明がされていたと推察できるが、子供の遺族にとっては、医療者のケアに対する不信頼感が高まった。このことから、親が亡くなる前に、子供にも親の病状について説明する必要があることが示された。本研究は、親の死別後6年以降に調査をしており、リコールバイアスが含まれるため、調査結果の解釈において注意が必要である。日本では、20歳以下の子供の遺族を対象とした研究は報告されていないが、本研究の方法であれば実施可能であろう。医療者の説明の仕方や内容などによっても子供の遺族の信頼感との関連が推察されるため、さらなる検討が期待される。

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