Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
Current Insight
英国でのLiverpool Care Pathway の動向について
LCP日本語版研究普及グループ
菅野 雄介、茅根 義和、池永 昌之、宮下 光令
 Liverpool Care Pathway(以下、LCP)は、2000年代初頭に英国で開発された看取りのケアのクリニカルパスである。欧州を中心に世界20ヵ国以上で使用され、日本では、2010年にLCP日本語版がリリースされている。英国政府は、LCPをEnd-of-LifeCareの重要な枠組みとして推奨してきたが、現在、LCPに代わるEnd-of-Life Careの新たな枠組みを検討するよう求められている。
 2013年7月15日にLCPを評価した英国の第三者評価機関は、医療者や遺族への聞き取り調査からLCPの実態をまとめた、Independent Review(以下、Review)を発表した1)。具体的には、輸液や栄養の中止に関して医療者の独断で判断していたケース、疾患や病状に合わせて治療やケアの選択をせずパスに沿った画一的なケアを行っていたケースなどが報告され、End-of-Life CareやLCPの使用方法に関する教育やトレーニングが十分に行われていないことを指摘している。さらに、LCPに関する研究において有用性を保証するエビデンスはなく、また患者や家族をアウトカムとした研究が少ないことを指摘している。これらの実態を踏まえ、Reviewでは、LCPを半年または1年以内に段階的に廃止し、患者と家族の個別性を尊重したEnd-of-Life Careの新しい枠組みを検討するよう勧告を出した。この勧告を受けて、英国のNational Institutes of Health(以下、NIH)は、LCPの実態を究明しEnd-of-Life Careの新たな枠組みを秋頃までに検討することを発表した。英国メディアは、今回のReviewを大きく取り上げLCPの実態について報道し、英国の一部の病院では、患者と家族の懸念を考慮しLCPの使用を控える動きがみられた。
 今回LCPを評価したReviewでは、LCP自体に問題があるというよりは、不適切な使用方法に問題があると言える。LCPを使用してきた医師や看護師からは、学会誌を通してこの問題を指摘しており2)、LCPを廃止することに否定的な意見を示している。Reviewでも、LCPを適切に使用することでEnd-of-Life Careのガイドになることを認めている。また、LCPの実態を踏まえ44の推奨事項を提示している。その中には、医師会や看護協会をはじめ、各団体にEnd-of-Life Careに関するガイドラインや教育プログラムの見直しを行うよう推奨している。また、Pathwayの用語はEnd-of-Lifeにおいて不適切であり、End-of-Life Care Planのような名称に変更するよう推奨している。これらの推奨事項は、英国のEnd-of-Life Careの新たな枠組みを検討する上で重要な内容であり、LCPを使用している国々においても参考となる内容である。
 日本では、LCP日本語版は研究段階にある。Endof-Life Careの政策に関して、英国と日本ではかなり状況が異なるため、英国でのReviewの勧告に沿って日本でLCP日本語版を使用している施設が直ちに使用を中止する必要はないと考えている。私たちの見解は、LCP日本語版ホームページhttp:// www.lcp.umin.jp/)に掲載する予定であるので、LCP日本語版を使用している施設、使用を検討している施設、また関心がある方はご覧いただきたい。また、私たちはLCP日本語版の使用登録をお願いしている。LCP日本語版ホームページに登録方法が掲載されているので、LCP日本語版を使用しているが登録していない施設、使用を検討している施設には使用登録をお願いする。今後は、英国の状況を含め、出来るだけタイムリーな連絡を使用登録施設に対して、電子メールで連絡する予定である。

参考文献
1) Department of Health. More care, less pathway:a review of the Liverpool Care Pathway.
July2013.https://www.gov.uk/government/publications/review-of-liverpool-care-pathwayfordying-patients.
2) Sykes N. The end of the Liverpool Care Pathway?
The lancet oncology. 2013;14(10):926-7. Epub2013/09/03.

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