Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
口演27
放射線療法
座長・報告  君津中央病院 放射線治療科  清水わか子
座長  広島県緩和ケア支援センター 緩和ケア科  本家 好文
 今回のこのセッションでは8つの演題が取り上げられた。
 大熊先生からは緩和ケアチームに放射線治療医がかかわることによって放射線治療という選択肢が提示されやすくなることが報告された。分割回数を少なくすることの重要性に言及されていたが、緩和ケアチームがもっと「早期からの緩和ケア」を提供するようになると、放射線治療の多様性を活かした発展も必要であると感じられた。
 工藤先生と和田先生の発表は、麻痺を発症した転移性脊髄圧迫の放射線治療の難しさを改めて指摘するものであった。フロアからは放射線治療の病床がないことを指摘する発言があったが、緩和ケア領域と同様に放射線治療も極端にマンパワーが不足している現状を踏まえ、今後、転移性脊髄圧迫へ の対応改善につながることを期待したい。
 続く小島先生と久我先生の2題は、出血性病変や多発脳転移に対する放射線治療についての発表であった。放射線治療の専門家から見れば常識的な内容であったが、緩和医療の側から見れば有用な情報である。いずれも症例数が少なく、症例のばらつきが大きかったので、さらに経験を重ねての発表が望まれる。
 近藤先生のガンマナイフの発表や石田先生のサイバーナイフの発表は、一つのモダリティの提示としては興味深いものがあった。しかし、施設ごとのスタンスの違いやアクセスの問題などもあって一般化することは難しく、比較的限られた状況での選択肢として捉える必要があると思われた。
 井関先生からはメタストロン治療を受ける患者の心理状態に関する発表があった。患者の気持ちを丁寧に読み解いたもので、医師とは異なる視点からの分析は示唆に富むものであった。
 演題数とその内容の多様性は、緩和医療の領域における放射線治療の現状を示しているが、一方で、同じ症状への対応を目的とした他の治療法との比較や適応判断についての意見交換がなく、議論が深まらなかったことは残念であった。
 放射線治療はハード面での進歩が著しく、選択肢も多くなっている一方、適切な治療法の選択には十分な専門的知識が必要である。今後、症状緩和における放射線治療の有用性をもっと活かしていくためには、治療を「依頼する・依頼される」という関係性を越え、患者や家族の心理状態なども含んだ様々な情報を共有しながら、放射線治療のスタッフも多職種チームの一員として、個々の患者における適応判断・治療法の選択および実際の治療に関わることが求められると実感された。

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