Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
口演26
リハビリテーション1
座長・報告  静岡厚生病院 リハビリテーション科  佐藤 恭子
座長  慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室  辻  哲也
 第1席は、末期大腸がん患者が術後うつ状態となり臥床傾向となっていたが、リハビリの介入と病棟スタッフによる協同的な支援により、ADLが改善し自宅退院できたという症例報告であった。
 第2席は、終末期のがん患者へのリハビリの介入がADLやQOLへ及ぼす影響について14名を対象とし、介入前後で機能的自立度評価法(FIM)は9名が維持改善、5名は低下したが、EORTCQLQ C30(QLQ C30)の各尺度では「全般的健康感・QOL」「疼痛」の2項目で有意な改善を認めたと報告された。
 第3席は、緩和ケア病棟における専従の理学療法士(PT)1名の取組みについての調査であった。入院患者67 名のうち27名(40.3%)にリハビリが実施され、その内容はリラクゼーション、歩行訓練、呼吸リハ、嚥下訓練などであった。
 第4席は、がんのリハビリがグリーフケアに与える影響についての研究で、郵送法にて没後年数、良かったと思うリハ内容、ADL向上の有無、グリーフケアへの貢献について調査したところ、リハビリ介入によりできることが増えたと感じた事実とリハビリにより悲しみが和らいだこととの有意な相関がみられた。
 第5席と第6席は一連の多施設共同研究に関する発表であった。第5席は進行がん患者199例を対象とし、客観的身体機能(FIM、PS、Berg BalanceScale)と主観的QOL(Good death Inventory(GDI)の下位尺度3項目及びQLQ C30)はリハビリ介入前後でどのように相関するかについて検討された。結果、ADL尺度間には相関を認めるものの、ADLとQOLの各尺度間の相関は低く、ADLが悪化してもQOLが維持される可能性が示唆された。第6席は進行がん患者128例の廃用症候群に対するリハビリの効果に関する検討で、2週間のリハビリ前後でFIMは低下していたが、GDIの下位尺度3項目及びQLQ C30は維持もしくは改善していたことが示された。
 第7席は、緩和ケア病棟におけるトイレ歩行に関する154名を対象とした実態調査で、終末期にかけ症状が増加する中、オピオイド等により症状コントロールのもとで最期までトイレ歩行・座位を実施する症例が多く、傾眠・せん妄が阻害因子の1つであると報告された。
 終末期がん患者においては自記式調査票によるQOLの評価にも苦労がある中で、症例報告や現状報告だけでなく、多施設共同研究を含めて臨床研究が多数報告されたことは素晴らしく、今後の研究成果を期待したい。

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