Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
口演14
免疫・補完代替・ハーバル療法
座長・報告  熊本赤十字病院 血液・腫瘍内科  吉田 稔
 患者さんご家族を癒すために様々な選択肢が提供され実践されている。近年評価されだした免疫・補完代替療法・ハーバル療法に関する5つのご講演が行われた。
 O14-1 非社会的、他罰的性格により治療に協力が得られず、スタッフに過重な負担をかけ親戚との関係も壊れていた症例。元ピアノ教師であったことを頼りに、治療医とピアノの連弾をする音楽療法を通じて喜びと生きる力を取り戻すことができた。ピアノを弾き続けようとする姿勢がスタッフや親戚に感銘を与え関係修復ができた。
 O14-2 経路にそって皮膚を引っ張る「整膚」を施術する事により、緩和ケア病棟に入院中の終末期がん患者の症状緩和に有効であることを明らかにした報告。「整膚」の前後で疼痛、全身倦怠感、呼吸困難感、気分の落ち込み、食欲の5項目で有意差を持って改善を認めた。リンパ浮腫への効果も言及された。さらなる検証が期待された。
 O14-3 消化管閉塞のない進行・再発大腸がんで積極的抗がん治療が終了し予後が3ヶ月以上期待される症例に六君子湯を投与することによりQOLと食思不振を有意差をもって改善することを明らかにした報告。投与開始2 週間後より効果を認め6週間後まで持続した。機序としてはグレリンを介する効果が推測された。症例と時期を選び六君子湯を投与すると有効であることが明らかにされた。
 O14-4 便秘改善剤オピオイド受容体拮抗薬Methylnaltexoneのわが国での第2相臨床試験で発生した死亡例に関する勇気ある報告。海外での開発データーを十分に検証せずに重大事故が惹起され本邦での薬剤開発も頓挫した。製薬会社の姿勢が問われると共に、治療研究に参加する医療機関において も副作用情報の検証を行い安全性を確保することが重要である。
 O14-5 進行期非小細胞肺癌患者に樹状細胞ワクチンを投与した症例の後ろ向き解析により、貧血のない患者にWT-1ペプチドワクチンを投与することにより、全生存期間が改善したことが報告された。今後の前向き試験の結果が期待される。

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