Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
口演8
倫理
座長・報告  兵庫県立大学看護学部  内布 敦子
座長  新潟県立看護大学  酒井 禎子
 O8-1は「倫理」という課題で分類されていたが、正確には倫理というより患者への病状説明に関する課題を扱う演題が6題あつまったセッションであった。病気、治療の経過に伴う医師からの病状説明、看護師による患者の意思決定支援の在り方、患者の病状認知と意思決定の分析、さらに患者の自律的な意思決定を支える医療者側の苦悩といった焦点でそれぞれの演題発表が行われた。
 それぞれの発表では、医師や看護師が患者の病状理解を進めるために、苦慮しながらも正直に情報を伝え、その都度、患者の意思を確認しながら、慎重に医療提供の方向性を定めていく様子が示された。その経過で、医学的に価値のあることと患者にとっての価値が相反し、医学的には受け入れにくい決定を患者が行ったとき、医師がどのように対応すべきかといった苦悩なども提示された。治療の方向性があたかも患者の意思に翻弄されるように見える状況も、一方では、患者の自律的な意思を尊重した結果としてみることもできる。医療者が、その都度できるだけ正確な身体の状況や治療の選択肢を見せながら、当事者である患者の意思を確認することが丁寧に行われていることで、深い信頼関係が築き上げられている様子も読みとることができた。
 近年、医療機関の機能分化がすすみ、一人の患者を同じ医師が継続して診療することができにくくなったが、地域に根ざした病院では、同一の医師が発病から最期まで、病気の軌跡に応じた患者への説明を実現し、最期の時期の話し合いがストレスなく行われるという現象も提示された。病状理解をりしやすくするためには、情報提供だけでなく戸惑う患者の気持ちに時間をかけて付き合い、患者が納得のいく決定をすることを支えるケアが望まれるが、そのためには看護師の配置、他職種等のリソースの整備が必要である。セッションでは患者理解や意思決定支援にそそぐ医療者側のありかたを議論するだけでなく、そのために人員配置やサービス提供への保険診療点数による保障についても合わせて議論された。医療サービスの提供システムが変化する中で、患者の意志を丁寧にくみ取り、ケアの継続性を保証するために、チーム医療の本来の機能が発揮されることに期待したい。

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