Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
ランチョンセミナー12(1日目)
緩和医療とリハビリテーション栄養
座長・報告  独立行政法人 国立がん研究センター東病院 精神腫瘍学開発部  小川 朝生
 本セミナーでは、横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科の若林秀隆先生に、リハビリテーション栄養とサルコペニアについてご講演をいただいたので簡単に報告する。
 まず、若林先生より、緩和医療において、倦怠感や悪液質に対してリハビリテーションが重要であることが認識されてきているが、ともするとリハビリテーションの機能回復訓練をする面だけが強調されがちであること、実際は機能回復訓練を実施できる栄養状態かどうか、低栄養や不適切な栄養管理がなされていないかのリスク評価は忘れられがちであることのお話しがあった。実際、リハビリテーションと栄養管理は表裏一体となっており、栄養管理のなされないリハビリテーションは禁忌である、ということは臨床においてまだ十分に理解が広まっていない事項であり、確認の意味でも重要な指摘であった。
 続いて、悪液質を含む広く筋力量低下を招く病態としてサルコペニアについても紹介をいただいた。サルコペニアは、寝たきりや嚥下障害、呼吸障害を招く基本的な病態と認識されてきており、治療に伴う不要な安静や禁食を回避すること、栄養管理を主体に、アセスメントに則ったリハビリテーションの実施が必要である。特に体重が横ばいから微減の時期に、抗炎症作用を期待したリハビリテーションを実施し、早期離床・経口摂取を進めること、適切な栄養管理を行うことで、サルコペニアによる嚥下障害を予防する取り組みが重要であることをご指摘いただいた。臨床において、誤嚥性肺炎は非常によく遭遇する事象である。臨床では誤嚥性肺炎があるとすぐに禁食の対応を取りがちである。しかし、禁食にすることでも誤嚥は防げないこと、かえって禁食にすることで低栄養と過度の安静による筋力低下を誘発し誤嚥が悪化することは、緩和ケアにおいて重要な示唆であり、認識の向上が必要と改めて感じた。

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