Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
ランチョンセミナー11(1日目)
幸せな最後(とき)のために
〜 PTEG キット(経皮経食道胃管挿入用キット)の緩和医療への適応〜
座長・報告  町立長沼病院  倉 敏郎
  がん患者の苦痛を緩和する手段には様々なものがあり、われわれはその中から適切なものを適切な時期に選択しなければなりません。がん性のイレウスに対する減圧としてPTEG(Percutaneous Transesophageal Gastro-tubing:ピーテグ)が昨年4月から保険適応となりました。今回のセミナーでは開発者である東京女子医科大学八千代医療センター消化器外科の大石英人先生に「緩和から生まれたPTEG」と題して、また同院内科病棟看護師の田久保由美先生に「PTEG造設でQOLが向上した患者の看護」と題してご講演いただきました。
 大石先生からは、減圧目的に長期間経鼻胃管を留置されていた症例の提示があり、このようながん性イレウスに苦しむ末期がん患者の減圧を何とかしたいという思いがPTEGを考案したきっかけになったと述べられました。PTEGの標準的造設法は、非破裂型穿刺用バルーン(RFB)を用いた超音波下穿刺によって頸部食道瘻を造設し、X線透視下にチューブを挿入留置する消化管のIVR手技です。PEGと異なり内視鏡を使用しなくても造設が可能であることを特徴としています。胆がん状態の患者における治療法には低侵襲であること、確実なQOLの向上が期待できること、経済的であることが望ましく、PTEGはそれらの要件を満たす手技として、緩和領域において普及されるべき手技と思われます。
 田久保先生からは、40代男性で胃がん、がん性腹膜炎の症例提示がありました。
 イレウス管、経鼻胃管挿入中は留置の苦痛のためかネガティブな発言が目立ったが、PTEG造設後は前向きになり在宅療養となったこと。在宅で仕事の引き継ぎ、家族への遺産相続等を行い2週間過ごすことが可能であったことを述べていただきました。
 このようにPTEGはがん性イレウスに対する減圧方法として優れた手段です。全国の緩和医療を受けるべき患者がPTEGの恩恵を受けられるために、さらなる普及が望まれます。

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