Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
ランチョンセミナー4(1日目)
緩和ケアにおける褥瘡対策
〜最新の情報〜
座長・報告  静岡県立静岡がんセンター  青木 和恵
 日本の創傷看護の創始者であり、強力かつ強靭なリーダーシップで日本のWOC分野を率い、日本の創傷ケアの実践力を世界に知らしめた真田教授のご講演である。「臨床に根ざした研究」を信念とされ、創傷看護に取り組まれているその日々の結実を、緩和ケアにおける褥瘡対策という観点に立って、「吹きぬける一陣の風」のように解説された。その鮮やかな研究の軌跡は、看護が科学でもあるが、五感をfullに使い抜くArtでもあることを確信させた。
 まず終末期には1989年に報告されている“Kennedy terminal ulcer”(KTU)など死期に関連する防ぎきれない褥瘡があり、その特徴は、洋梨型、赤・黄・黒色、仙骨・尾骨に急激に発生、であることを述べられた。しかしその形態的特徴はICUで発生する褥瘡とも似ていることからKTUは終末期にのみ特有ではなく、発生のメカニズムについては今後十分に検討される必要があることを述べられた。その上で、これまで褥瘡対策として、@終末期の症状であるるい痩に対応する骨突出部分のみに圧分散が起こりその他は安定性を保つ構造を持つエアマットセル、A緩和的治療などの有害事象として起こる泥状便に対応する200gまで吸収体中に落とし込み便漏れを防止するおむつ、B褥瘡創内と褥瘡周囲皮膚における細菌数の測定による褥瘡周囲の洗浄の有効性の証明によるケア、C褥瘡状態と低栄養との関係を示す褥瘡肉芽色と褥瘡漏出蛋白質量との相関の証明、D褥瘡好発部位の皮膚血流量を増加させる振動機、などを開発されてきたことと、その内容をを具体的に解説された。最後にこれらの研究や開発を駆使して褥瘡予防を行うことが緩和ケアを進歩させることを強調された。

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