Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
特別企画1
緩和ケアにおける免疫療法を考える
座長・報告  東海中央病院  渡辺 正
 進行がん患者に対して化学療法、放射線療法などが標準的治療として行われているが、免疫療法は、樹状細胞の発見、がんペプチドの開発研究、リンパ球の培養技術の発展、さらに臨床において多数の治療効果が発表され大きな注目を集めている。それを反映して、緩和ケアの臨床現場においても“がんペプチドワクチン”治療の相談を受けることが増えてきている。今回特別企画として、400例以上の臨床経験を持つ演者により、がんペプチドワクチンの具体的な実施方法や治療効果の現状について発表の機会を得たことは、時機を得た有意義なものであった。
 がんペプチド樹状細胞ワクチン療法は、単球をサイトカインとの混合培養により作製した樹状細胞に、がんペプチドワクチンを直接作用させて抗原提示細胞とし、その抗原を認識したTリンパ球によりがん細胞を攻撃する療法である。がんペプチドの選択は、個々のがん腫の遺伝子情報や患者のHLAタイプなどを参考に決められるが、主としてWT1、Muc-1などが使用された。また免疫能をあげるために、サイトカインを用いたがん特異的リンパ球の増殖や活性化リンパ球の併用などが行われた。がん免疫はワクチン接種後約3ヶ月で獲得され、そして治療効果は4人に1人でがんが縮小、20人に1人程度にがんが消失、全体で3人に2人は一時的にがんの進行の停止が認められた。肺がん、大腸がん、膵がん、胃がんなどについて、治療前後のCT所見や内視鏡所見などのスライドが供覧され、がんワクチン療法によるがんの縮小効果に強い印象を持つことができた。
 免疫療法は個々に対応するオーダーメード治療として、副作用が少なく一定の治療効果があるため、がんの縮小による延命効果と症状緩和、また治療計画の見通しが患者と家族に希望を与えることができるなど、緩和ケアにおいて有用であることが認められた。

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