Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
ワークショップ14
PEGをとりまく諸問題
〜幸せなPEGを行なうために〜
座長・報告・演者  長尾クリニック  長尾 和宏
座長  藤田保健衛生大学医学部 外科・緩和医療学講座  森  直治
 40万人ともいわれるPEG患者さんがマスコミで取り上げられた結果、あたかもPEGは悪いものであるかのように誤解されたことは大変残念である。PEGは悪いものだから経鼻胃管やIVHにしてくれという人が増えて現場は困惑している。申すまでもなく、PEGは単なる人工栄養の道具にすぎす、問題の本質は優れた文明の利器を患者さんの幸福のためにどのように使うかである。すなわち、PEGは再び食べるための松葉杖のようなものであり、PEGを入れた瞬間から口腔ケアと嚥下リハを継続しなければならない。また、障害者や神経難病へのPEGは、延命処置ではなく福祉用具であることを忘れてはならない。PEG問題の本質は、あくまで終末期の諸問題である。伊藤、西山らは、「PEGのジレンマ」と題して、ハッピーな胃ろうとアンハッピーな胃ろうの図を用いて説明している。その境界は、認知症が進行して意志疎通ができない、自分の唾液さえも誤嚥する段階としている。
 本ワークショップでは中瀬一先生(北杜市立甲陽病院)が、胃ろう患者の家族へのアンケート調査を発表した。たとえ短期に終わっても家族は満足を感じることが多く、医療者側の理論ではなく家族の緩和という視点も必要だという認識を示した。児玉佳之先生(カレスサッポロ時計台記念病院)は、がん緩和ケアにおけるQOL改善を目指すPEGについて考察した。がん緩和ケア患者の栄養管理のみならず減圧目的のPEGの有用性を指摘した。日下部明彦先生(みらい在宅クリニック)は、胃ろうのチャンスは公平に与えられるべきだと主張した。吉澤明考先生(要町病院)は、在宅緩和ケアにおける胃ろうの役割を具体的に示した。葛谷雅文先生(名古屋大学)は、日本老年医学会の立場表明ならびにガイドラインを通じて胃ろうの導入と中止について概説した。以上、緩和ケアとしてのPEGについて活発な議論がなされた。

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