Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
ワークショップ12
新しい薬物療法とその評価
座長・報告  総合病院 聖隷浜松病院 薬剤部  塩川  満
座長・演者  明治薬科大学 臨床薬剤学教室  加賀谷 肇
 このワークショップ12は薬剤師企画であり、「新しい薬物療法とその評価」と題し、2012年5月に発売になった「オキファスト注(以下、OF)」と2013年3月に新たな医療用麻薬として登場した「メサドン」に注目し、それぞれ2施設より報告いただいた。
 OFに注目した企画者側のねらいは、強オピオイドとして使用頻度の高いオキシコドンが注射剤として発売され、1年が経過した時点での使用経験や換算比の考え方を情報共有することである。
 札幌ひばりヶ丘病院 緩和ケア科の高橋大賀医師からは、OFを66名の患者に使用したところ、他剤で症状緩和が困難であったがん性疼痛7例、倦怠感31例、呼吸苦7例に有効であったという報告であった。特に倦怠感改善に対する投与量や効果発現時間など明確には示されなかったが、有意な症状緩和が得られていた。
 日本生命済生会付属日生病院 麻酔・緩和医療科の川原玲子医師からは「先行麻薬に対する換算比の検討」と題し、がん患者にOFを静注(17例)ないし皮下注(3例)した20例に対する検討報告があった。つまり、Glasgow Prognostic Score(GPS;予後予測の指標値)が高いと換算比(OF/OCオキシコドン内服)も高いという傾向になるため、病期を考慮して換算比設定の必要性が示された。この結果は今後ローテーションする際の有効な情報と思われる。
 次に「メサドン」に注目した企画者のねらいは、メサドンは従来のオピオイドでは十分な効果が得られないがん疼痛に対して有効と考えられているが、既存のオピオイドと違い、半減期に個人差があり、CYP分子種やP糖蛋白による影響等による個体間変動も大きく、また重大な副作用として不整脈(QT延長、心室頻脈など)や呼吸抑制もある薬剤であり、取り扱いが非常に難しい薬剤であるため、実際に使用経験のある演者にお話しいただき参考にしていただきたいと考えたからである。
 西宮市立中央病院麻酔科・ペインクリニック科の前田倫医師から「高用量のメサドンで十分な鎮痛が得られずクモ膜下ポートにて疼痛管理した使用経験」と題し、メサドンを使用しても鎮痛効果が得られない例があったことの報告をいただいた。注目すべきはメサドンが万能ではないことの認識を持たなくてはならないことと、高用量のメサドンからの切り替えをどのように行なったかであった。亀田総合病院疼痛・緩和ケア科の関根龍一医師から「メサドン塩酸塩錠の治験概要」と題しご講演いただいた。21例中18例に切り替えが成功し、タイトレーション完了までの日数は中央値で8日、NRS変化量は平均-1.8と有意に減少したという結果であったが、副作用を十分に注意して使用する重要性が示された。

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