Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
ワークショップ5
緩和ケア病棟の現状と将来像
座長・報告・演者  国立病院機構豊橋医療センター 外科・緩和ケア  佐藤  健
座長  大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻  荒尾 晴惠
 日本の緩和医療の歴史上、実践の牽引役としてのホスピス・緩和ケア病棟の役割は大きく、その現状と将来像を探る重要な企画であり、関心は高く、満席の会場で熱気のある時間となった。
 基調講演は中世からアイルランドの近代ホスピス、現代に繋がるホスピス運動の歴史と、豊橋医療センターの取り組み、地域の市民団体と共に普及活動を行い、国に請願し実現した市民と共に創造したホスピスであること、三つの入院形態(症状コントロール、レスパイトケア、看取り)を運営方針として、在宅ケアと連携してきたこと等の紹介をした。加えてホスピス運動は市民と医療者が共に創造する医療を変革するエネルギーをもった運動で、緩和ケア病棟は今後も社会を変えていくホスピス運動の推進役としての使命を自覚すべきであることを述べ、演者の発表と討論に繋いだ。
 まず伊藤浩明氏より「ホスピス機能を有する急性期緩和ケア病棟」と捉えた運営の現状が紹介された。次に月山氏から9床という小規模施設の13年間の運営の変遷が紹介され、長期療養から短期入院へのシフトが報告された。久保氏は症状緩和されれば在宅診療への調整する体制で行っていること、緩和ケアも急性期病棟と慢性期病棟に分けることが必要と述べられた。また伊藤彰博氏から大学病院の施設としての特徴、一般病棟と適宜、転棟をする形態をとっていることや、在院日数の短縮傾向等が報告された。小池氏からは58床の大規模施設での取り組み、特徴等が紹介され、海外交流を行っていることも強調された。
 発表施設の平均在院日数は18.6日〜41.6日で短縮している傾向がみられ、今後急性期型と慢性期型に分かれ、緩和ケア病棟は急性期型中心になっていくだろうと考えられた。それに対しいつまでも入院できるのが従来のホスピスと考えていたが、それが変わったと危惧するとの発言があったが、ただ亡くなるまで入院し続けることがホスピスの本質ではなく、入院と在宅ケアを組み合わせて終末期のすべての期間を通して支え続けることがホスピスケアの本質であることを座長として強調しておいた。他にも様々な討論がなされたが、より深くホスピス、緩和ケアの理念、思想までを含めた議論をしたいと考えたが、時間は少なかった。まだそこまで深い議論ができるほどわが国の緩和医療の現状は成熟してないとも感じたが、現時点の企画として意義深いワークショップであったと考える。

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