Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.61
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2013  61
パネルディスカッション8
高齢者の緩和ケア
座長・報告  青森県立中央病院 緩和医療科  蘆野 吉和
座長  株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション  秋山 正子
 このパネルディスカッションでは7題の発表があり、短時間ではあったが総合討論が行われた。
 斉藤義之氏(新潟市)は、地方都市では、地域の緩和ケアの受け皿がないため、高齢がん患者が治療を受けたがん専門病院で亡くなっている実態を報告し、緩和ケアの地域連携を積極的に推し進める必要性を強調した。笹川優美氏(清水市)は、病院で死亡した80歳以上のがん患者では、80歳以下のがん患者と比較し、「何もしない」選択が家族および医療者に許容される傾向があると分析し、意思決定を含め高齢者の思いや苦痛に寄り添う必要性について問いかけた。杉本由佳氏(名古屋市)は、独居高齢者がん患者および認知症がん患者の在宅看取りを報告し、症状緩和治療をしっかり行い、多職種協働で生活環境を整備することで自宅での看取りは可能であることを報告した。同様に、姫野美穂子氏(東京都東大和市)は、独居高齢者の在宅看取りを報告し、地域全体での支援体制の整備、事前の個々人の状況に応じた対策を講じることが重要であると述べた。吉村純彦氏(十和田市)は、急性期病院が展開している地域の医療介護職種との連携を基盤とした緩和ケア活動について紹介し、高齢者に対する緩和ケア実践上の課題として、「生活を支える医療」への視点の転換が必要であること、意思決定の経験知となりうる看取りを病院から地域に戻すことが必要であることを提示した。荒金英樹氏(京都市)は、「地域ケアステーション」について紹介し、この活動が地域の高齢者の多様なニーズ(緩和ケア、嚥下リハ、食)への対応、多職種協働の基盤となっていること、そして加齢や死の問題に関する市民啓発活動となっていることを報告した。平原佐斗司氏(東京都北区)は、高齢者のがんと非がんの緩和ケアの特徴と課題を提示し、高齢者に対しては基本的な緩和ケアと看護ケアの手法が必要であり、緩和ケアでは緩和医療学と老年医学の融合が必要不可欠であることを強調した。
 なお、総合討論では、高齢者の緩和ケアにおいては地域全体での取り組みが重要であるとの共通認識が得られた。

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