Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
Journal Club
米国におけるがんサバイバーの心理社会的ケアの実態
東北大学大学院医学系研究科緩和ケア看護学分野  竹内 真帆
Forsythe LP, Kent EE, Weaver KE, Buchanan N,Hawkins NA, Rodriguez JL, Ryerson AB, Rowland JH.Receipt of psychosocial care among cancer survivors in the United States.J Clin Oncol.
2013 Jun 1;31(16):1961-9.

【目的】
 がんサバイバーに対する心理社会的ケアが重要であることを示すため、がんが及ぼす心理社会的な影響について医療者と話し合ったり、専門家のカウンセリングやサポートグループ(PCSG)を利用したりする、がんサバイバーの集団ごとの特徴を明らかにし、心理社会的ケアの受給とケアに対する満足度との関係について調査した。
【方法】
 米国の一般市民調査であるNational HealthInterview Surveyの2010年のデータから、成人がん患者1,777名を対象に調査を行った。多重ロジスティック回帰を用いて、心理社会的ケアの受給と満足度の関連因子について調査を行った。
【結果】
 55.1%のサバイバーが、医療者との話し合い、PCSGの利用のいずれも行っていないと報告した。31.4%では、医療者との話し合いのみがもたれ、4.4%ではPCSGの利用のみが行われ、どちらも実施されたのは、8.9%であった。黒人、既婚者、乳がん患者、化学療法を行った患者、過去に何らかの研究調査の協力をした経験のあるサバイバーの方が医療者との話し合いをより行う傾向にあった(P<.01)。ヒスパニック、40-49歳の患者、乳がん患者、一年以内にがんの診断を受けたもの、放射線療法を受けたもの、過去に研究調査に参加した経験があるものは、より多PCSGを利用している傾向がみられた(P<.05)。何らかの心理社会的ケアを受けたサバイバーの方が、ニーズの充足度に対して“とても満足”とより多く回答する傾向にあった。
【結論】
 多くのサバイバーが、がんによる心理社会的影響について、医療者との話し合いを行っていないことが明らかになった。これはサバイバーの心理社会的サービスへのアクセスの機会を逃していることになる。今回のデータはがんに関連した心理社会的ケアのアクセスの改善に向けた取り組みが成功するための基礎データとなる。
【コメント】
 がんサバイバーに対する心理社会的なケアにおいては、医師以外の医療スタッフ(看護師や臨床心理士など)も重要な役割を担っている。多職種で連携し、PCSGの紹介も含めた情報共有や話し合いをすることの必要性が示唆された。本研究では、医療者からの説明・話し合いやPCSGの具体的内容までは示されておらず、ケアニーズも含め、関連因子について、さらに詳細な探索が必要である。

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