Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
Journal Club
がん患者と非がん患者における希望する死亡場所と
実際の死亡場所の一致に関する研究:系統的レビュー及びメタ分析
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻 緩和ケア看護学分野  菅野 雄介
Billingham MJ,Billingham SJ.Congruence between preferred and actual place of death according to the presence of malignant or non-malignant disease: a systematic review and meta-analysis.BMJ Support Palliat Care 2013;3:144-154.

【目的】
 患者が望んだ場所で最期を迎えられるように調整することは緩和ケアにおいて重要である。本論文では、がん患者と非がん患者における希望する死亡場所と実際の死亡場所の一致に関して系統的レビューとメタ分析により明らかにすることを目的とした。
【方法】
 14のデータベースを利用し、1980年から2012年10月までに出版された研究をレビューし、メタ分析を行った。適格基準は、がん患者、非がん患者の単独群、または両群で患者の希望する死亡場所と実際の死亡場所を比較し一致しているかどうかを検証した研究に関するものである。選択された論文は独立した評価者によりレビューされ、データの抽出と研究の質の評価が行われた。
【結果】
 718本の論文が同定され、最終的に26本の論文が適格基準に該当した。該当した論文の多くは欧州のもので、そのうち12本の論文が英国であった。メタ分析により、がん患者は、非がん患者に比べ、患者が希望する死亡場所と実際の死亡場所での一致において有意な差がみられた(調整リスク比1.23,95%信頼区間1.01−1.49)。死亡場所で在宅を希望する患者と希望しない患者では、実際の死亡場所での一致において有意な差はみられず(調整リスク比1.17,95%信頼区間0.84−1.64)、また、在宅死亡で実際の死亡場所と希望する死亡場所との達成割合において、がん患者と非がん患者に有意な差がみられなかった(p=0.095)。
【結論】
 非がん患者は、がん患者に比べ、希望する死亡場所と実際の死亡場所が異なることが明らかになった。
【コメント】
 本論文は、非がん患者の死亡場所と実際の死亡場所の一致において、がん患者と比較した貴重なレビューである。非がん患者は、がん患者に比べ、希望する死亡場所と実際の死亡場所が異なることが明らかになったが、認知症患者の場合、希望する死亡場所をどの段階で確認するべきか意思決定の問題も含め更なる検討が必要と考える。

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