Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
口演46
患者・家族に対する癒し
座長・報告  埼玉医科大学総合医療センター 呼吸器外科・緩和ケア推進室  儀賀 理暁
 本大会のメインテーマでもある「癒し」を掲げた本セッションでは、4名の演者の心温まるご報告により会場全体が優しい時間を共有しました。
 第一席は、岐阜中央病院の西村幸祐先生が、「30代の母親の死を小学生の子供たちに伝えるために医療者は何ができるか」という演題で、様々な絵本とともに大切なメッセージを届けられたお子さんが、母親の死後「僕生き抜くよ」と述べた様子をお話して下さいました。ご本人ご家族と医療者が一緒に悩み難しい話を伝えた真摯な姿勢そのものが、子どもたちの心に届いた様に思われました。
 第二席は、JA愛知豊田厚生病院の西村大作先生が、「ハーモニカによる音楽療法が心のケアに有効であった終末期子宮がんの1例」という演題で、担当医師自身が音を届けることの意義をお話して下さいました。患者さん宅でのセッションもご紹介いただき、先生と患者さんの奏でるハーモニカとご家族や医療スタッフの優しい笑顔が素晴らしいハーモニーを奏でる様子を堪能させていただきました。
 第三席は、総合上飯田第一病院の清水智子先生が、「患者と家族の不安解消に“タッピングタッチ”が奏功した一例」という演題で、やや特殊なタッチングの手法が終末期の患者さんとご家族のかけ橋となったご経験をお話して下さいました。比較的ご高齢の男性が、奥さまとともに心を開かれる様子が紹介され、バランス良く心と身体の両面へと働きかけることの大切さを再確認いたしました。
 第四席は、日本海総合病院の村上祥子先生が、「急性期病院における癒し環境を提供するための工夫」という演題で、音楽会とお茶会をセットにした「やすらぎティータイム」の活動をご報告して下さいました。音楽で揺り動かされた情動を、その後に家族や馴染みのスタッフと一緒に話す時間を持つことでより安全かつ豊かなものにするという企画力に感服いたしました。
 「癒し」を表現し評価することは、大変困難です。しかし、何を提供するかではなく、彼らの中にある言葉と物語がいかに紡がれるかという観点を忘れないことが大切であると再認識させていただきました。

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