Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
口演42
家族ケア
座長・報告  がん・感染症センター都立駒込病院 緩和ケア科  栗原 幸江
 本セッションでは、家族ケア・遺族ケアについて5題の発表があった。
 演題1:学童期の子供を抱える終末期肺がん患者とその家族に対する介入について、臨床心理士より事例提示を通じて報告された。親が終末期にある子どもとの関わりで意識したいポイントのほか、家族力動やコミュニティーも視野に入れたサポート体制のアセスメントの重要性や、患者・家族それぞれの自助能力とニーズに見合った介入を意識することの大切さなどをお伝えいただいた。
 演題2:がんで母親を亡くし父子家庭となった父親に対し行われた調査結果を通じて、母親不在となった「父親と子ども」間の相互作用についてご発表いただいた。患者の死後家族員それぞれの悲嘆反応とその影響、それまで母親が担ってきた役割を分担することの各々への負荷、特に「叱る場面」における父親の苦悩など、今後の遺族ケアを考える上で大切なポイントが示唆された。また、今回調査研究という形を通して初めて父親たちに「語る場」が得られたことなど、遺族ケアのアウトリーチの課題も意識された。
 演題3:終末期にある患者を抱えた家族に対する看護師の関わりのプロセスを振り返り、そこから抽出された「家族の精神的健康を整える看護援助」の実践の特徴が報告された。「望みを支える」「別れの準備を整える」「感情整理を助ける」「介護疲れに対応する」「家族の存在を大切にする」「患者と家族の結びつきを強める」など、看護実践の意図をあらためて意識化することが、家族の満足度向上のみならず看護師自身の自己効力感の向上につながるということが示唆された。
 演題4:家族外来を提供している医師より、家族外来を受診する家族の受診に至る経緯や目的、受診による満足度など、利用者に対する調査結果が報告された。利用者の満足度は非常に高く、家族外来という場があることが、受診する家族のみならず家族のことを心配する患者の安心にもつながるなどが挙げられ、家族外来の存在意義が改めて示唆された。
 演題5:ご遺体へのケアを看護師が家族と一緒に行うことについての家族の体験・評価の調査研究の結果が報告された。ご遺体へのケアを一緒に行うことへの「声かけ」が参加率を左右すること、故人への感謝やねぎらいとして、また死別への気持ちの整理になるなど、ご遺体のケアを行ったご遺族の満足度が高いこと、しかしケアを一緒に行う際に不安や戸惑いを感じるご遺族があり配慮が必要である、などの貴重な示唆をいただいた。
 いずれの報告も明日からの臨床へのヒントをいただくものであり、日々のケアについて「あらためて意識化する」ことの大切さを教えていただいた。発表者と参加者に心より感謝したい。

Close