Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
口演29
全人的苦痛2
座長・報告  岐阜県立多治見病院 緩和ケア病棟  伊藤 浩明
 O29-1,O29-2:岩手県立大船渡病院緩和ケアチームの村上雅彦先生から、東日本大震災における緩和ケアチーム活動の問題点と課題について、また緩和ケアを提供する医療者への支援についての発表があった。
 発災後は災害対応のためチーム活動は停止し、情報の収集や発信は不可能な状態になったこと、活動を再開してもメンバーの状況が理解できず充分活動できなかったこと、その後、緩和ケアを提供する自分たちも被災者で悲嘆状況にあり、その状態が当たり前なのだと気付いてやっと安心できたことなど、現在に至る当事者の思いを述べられた。
 災害急性期には生きるための支援を、亜急性期には病院機能維持のための支援を、慢性期には被災者である医療者への心の支援を、サイコロジカルファーストエイドのスタンスで関わることが必要であることを提言された。
 被災地外にいる我々が今なすべきことは、被災したスタッフの周りに理解者のネットワークを作って話し合うことであり、被災者にとって当時のことを語るのはつらいことではあるが、それが他の地域の人の役に立つなら必要であると考えていることで締め括られた。
 次の災害の被災者になりうる我々としては、今後も現地の復興状況に関心を持ち、この経験をもとに、超急性期に被災地に入れるDMATによる情報発信・コーディネートの体制や、緩和ケアチームによる支援活動体制などについて、学会としても早急に検討して構築する必要がある。
 O29-3:第二岡本総合病院の岡野博之先生より、気切をした終末期頭頸部がん患者の問題点についての発表があった。気切前は胸苦等の身体的苦痛が主だが、気切後はコミュニケーションがうまく取れないこと等による精神的・スピリチュアルな苦痛が出現することを報告された。本人が筆談で書いているときに、職員が気をまわして先読みすることで苛立ちを訴える患者もおり、その人の気持ちになった対応が必要であることを述べられた。

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