Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
口演3
基礎・調査研究
座長・報告  慶應義塾病院  武田 純三
座長  国立病院機構 山口宇部医療センター  片山 英樹
 緩和医療が学問としての位置付けを確立していく上で、基礎研究、調査研究の積み重ねが、非常に重要と考えられる。
 呼吸困難感の緩和:低反撥マットレスを積み重ねることで異常筋緊張や関節拘縮が改善するとの研究をもとに、今回慢性閉塞性肺疾患患者で検討している。SpO2の改善、呼吸数減少、心拍数低下などのphysicalな改善に加え、苦痛も改善した。マットレスによる緊張低下が安静をもたらした可能性が示唆された。緊張低下が先行したのか、SpO2改善が緊張低下をもたらしたのかの検討が望まれる。
 造血器腫瘍に対する終末期診療の実態調査:市中の中規模病院であるが、多くの血液疾患患者を擁している施設での、貴重な報告である。原疾患、感染、出血が主な死亡原因で、末期には血液検査、単純X線撮影が多く行われた。抗生剤・抗真菌剤投与、輸血、化学療法、カテーテル挿入、鎮痛・鎮静薬投与などが行われ、固形がん患者の末期に比べて処置が多くなっていること、医療者の意向の影響がでやすいことなどが挙げられた。
 デノスマブ投与後の血清カルシウム低下率に影響する因子の検討:デノスマブによる血清カルシウム低下は、低アルブミン血症の存在で生じやすいので、血清カルシウム濃度に注意を払う必要があることが示唆された。
 がん化学療法施行中の患者における緩和医療に関する意識調査:化学療法中の患者を対象にした研究で、化学療法の副作用としての苦痛が多く、鎮痛薬が投与されていても疼痛管理は十分でなく、また必要時に緩和ケア受診の希望はあるが、内容についての理解は十分とはいえないことが示された。
 原発不明がん患者の受診家庭から比較した闘病体験の差異:がんの確定診断がつくまでに時間を要した患者では、不満足感や心身の苦痛が増強しており、看護支援が必要であることが提示された。特定機能病院が紹介患者を中心とした診療を行っていく上で、近医受診から確定診断までに時間を要した患者に対する、重要な問題提起であった。
 在宅緩和ケアに対する意識の変化に関する研究:「がん医療フォーラム2012地域で支える新しいがん医療の形」参加者の意識の変容の調査を行った研究である。最期を迎える場所として「家」が増えたことが示された。今後の継続しての研究が望まれた。

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