Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
ランチョンセミナー3
悪性消化管閉塞に対する治療戦略
〜手術から薬物治療まで〜
座長・報告  NTT 東日本関東病院 緩和ケア科  堀 夏樹
 東口会長の意図であるのか、広い第二会場には見入ってしまうような映像と軽快な音楽が流れ、「学会は楽しいね」というメッセージがあふれていた。そこがたちまち多くの参加者で占められてゆくのをみるにつけ、当学会の発展について想いを馳せたのは筆者ばかりであろうか。
 そんな中で片山寛次氏が迫力をもって登壇した。氏は消化器外科医としての長いキャリアから、消化管閉塞や腹水貯留例が「末期」としてひとくくりにされている事実に対して警鐘を鳴らした。すなわちその病期にあわせた妥当な栄養管理を行うことで、QOL向上がなされる事実を示したのである。さらに緩和医療にたずさわる医療者はTotal NutritionTherapyなどの研修を受け、NSTとの恊働を重視すべきであるとの提言をされた。むろんここにおいては経口摂取がいかに重要かという課題が出てくるが、解決の緒として、在宅でも行える腹水濾過還元法の新しい手技、オクトレオチドの有用性、PEG/PTEGの積極施行、膵がん手術非適応例に対するバイパスと術中照射併用療法、HIPECと称される高温腹腔内化学療法などを解説され、こうした手技や工夫が症状緩和ばかりか、長期にわたり経口摂取を可能ならしめ、予後にすら好影響を与えると話された。筆者が内容以上に感銘を受けたのは、(1)病期・病態を評価しながら、(2)患者・家族の希望を聴き、(3)今後について十分話し合い、(4)可能な限り多くの選択肢の中からできることをやる、という緩和医療の原点に貫かれた「支え続ける」という姿勢であり、「できること」の選択肢の多さであった。
 ランチョンセミナーの宿命か、新たな知見や示唆に富んだご講演であるにもかかわらず、ご講演終わり近く、中途退席者が多くみられた。次セッションへの参加のためと思われたが、セミナー開始時の熱気があからさまに薄れてゆくのは残念であった。

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