Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.60
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2013  60
シンポジウム7
コミュニティ(相補的支援環境)の構築に向けて
座長・報告  名古屋掖済会病院 緩和医療科  家田 秀明
座長・演者  名古屋大学大学院医学系研究科 看護学専攻  安藤 詳子
 がん患者や家族が療養上抱える悩みを互いに相談し情報交換する集いの場が今注目されている。今までにも医療者が直接間接に情報発信等で患者会などと関わりを持ってきたが、がん患者や家族が主体となって気軽に参加できるがんサロン等が全国で広がってきた。
 2012年6月に厚労省はがん対策推進基本計画を発表し、こうした場の推進とがん体験ピアサポーター育成にも注力する方針を明記した。本シンポジウムはまさにタイムリーな話題である。基調講演として座長の安藤先生が、がんサロンなどの相補的支援環境の場がどれだけ広がりを見せ、どのような効果や問題点があるか、全国のがん拠点病院等を調査した結果を発表した。国や自治体の支援が明記されているものの、調査対象病院の半分は予算がなく人的支援も不足していることが明らかになった。サロン活動は患者同士の交流が調査対象の8割以上で行われており、セミナー5割、相談支援4割、家族支援3割などで医療者の介入も見られ、事務員の参加が院内周知や院外広報に重要であることも示された。藤田保健衛生大学七栗サナトリウム緩和ケア病棟のがん性疼痛看護認定看護師の橋本先生は緩和ケア病棟でのコミュニティードームという語らいの場でお茶会を定期的に催し終末期の患者や家族はもちろんスタッフにとっても癒しの場になっていることを示された。信愛病院の高世先生は地域の医療関係者の有志とともに院外にがんカフェを開催し、経済的援助や病院の支援のない中で規制緩和、非成長戦略、分かち合いの3本の矢を放って活動をされていた。四国がんセンターの井上先生はグリーフケアを専門とする臨床心理士として活動される傍ら、院内の患者サロンを支援してきた。問題点や苦労、コーディネートのむずかしさを心理的立場から披露された。経済的・人的・環境の支援としては県や病院の十分なバックアップを受け新たに患者家族総合支援センターが開設されるため、今後は1つの推奨モデルとなるであろう。岩手医科大学の木村先生は緩和ケア室長としてがん患者・家族サロンに関わってみえる。特徴はサロン自体が院内独立部門で専従常駐スタッフや年300万円以上の活動費など大学の全面的なバックアップをとっているところである。また患者サイドからの視点を取り入れているところも興味深く拝聴した。例えば定期受診されている患者が各相談医療者に必ず会えるように曜日配置をずらして設定したり男性の日を設けたりしていた。3 年半以上の活動で1万2千人を超える利用者は群を抜いており、リピート率の高さが伺われた。時間が少なく十分な討議はできなかったが、其々の特徴をいかした活動、運営方法は会場の参加者には届いたと思われる。相補的支援環境の構築には運営基盤が必要であり、医療関係者の黒子的関わりが共通して重要であることを再認識した。また其々の対象者、患者背景、個別性、地域、施設等の特徴は様々であり、継続発展するためには其々に合った支援環境を工夫することが重要であると思われた。

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