Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.59
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2013  59
学会印象記
1st European Congress on Paediatric Palliative Care (ECPPC)
国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 緩和医療科
永山 淳
 2012年11月28〜30日、イタリア・ローマにて開かれた第1 回ECPPCに参加しました。EAPCでは、小児緩和ケア(PPC)への取り組みを進めており、今回の会議もこの流れに沿うものです。小児緩和ケアにフォーカスした国際会議は世界的にもはじめての取り組みであり、19世紀に築造された水族館を改修した、歴史を感じさせる学会場に、ヨーロッパのみならず世界各国から300 名あまりの参加者が集まりました。
 初日はPPCの定義や対象疾患についての話題から始まり、ヨーロッパの現状報告のセッションが続きました。PPCの対象疾患のカテゴリーは4つ提唱されていますが、病状や病期によってカテゴリーは変化しうるという意味で、”Everybody doesn't receive the same categorization everywhere.”との言葉が印象的でした。
 各国の現状についてはPPC の先進地であるヨーロッパといえどもそのあり方はさまざまでした。例えばベラルーシでは、小児ホスピスがありdistant consultation も行っている、レスパイトプログラムも整っている、しかしオピオイド供給が不十分で疼痛緩和の問題が残っている。フランスでは政策的なバックアップがあって、PPC の年間予算は400万ユーロもついています。スペインからは最重症の脊髄筋萎縮症に対する治療差し控えや治療中止についての報告があり、ほとんどは人工呼吸管理を受けることなく、自宅で亡くなっているとのことでした。制度、政策、倫理観…わが国との違いを知る良い機会となりました。
 2日目は症状マネジメントの話題から始まりました。Pain Management のセッションでは2012年に出たWHO Guidelines の解説が中心でした。Dana-Farber のDr. Wolfe によるレビューは、さまざまな症状緩和の臨床研究を網羅した内容で、大変informative なものでした。新生児期の緩和ケアを取り上げたセッションも興味深いものでした。PPCの対象となる子どもたちの多くが1歳の誕生日を迎える前に亡くなっている現状があり、新生児・乳児期の緩和ケアはとても重要と位置づけられています。一方で新生児医療は救命をめざした集中医療であり、延命治療の差し控えや中止などの倫理的問題と背中合わせでもあります。ヨーロッパでは、新生児に対する緩和ケアのパスや、イギリス周産期学会による新生児緩和ケアガイドラインなどさまざまな提案がされています。
 クロージングセッションでのEAPCチェアマン・Sheilla Payn さんの挨拶に心を動かされました。「チェアマンを引き受けたとき、ヨーロッパからのoutreach が自分のミッションだと思った。今回ヨーロッパだけでなく、世界各地からの参加があったことをとてもうれしく思う。みなさんもどんどんoutreach して、小児緩和ケアの世界を広げてほしい。」ミッションが世界を動かし変えて行くのだ、日本でもPPC が実践される環境を作って行かなければと感じました。この機会に学んだことを国内でも活かしていきたいと考えています。

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