Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.59
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2013  59
Journal Club
終末期がん患者の家族介護者となることによる
肯定的な影響と関連する要因の探索:
韓国での全国的遺族調査の結果より
東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻 緩和ケア看護学分野
清水 恵

Kang J, Shin DW, Choi JE, Sanjo M, Yoon SJ, Kim HK, Oh MS, Kwen HS, Choi HY, Yoon WH.Factors associated with positive consequences of serving as a family caregiver for a terminal cancer patient.2013 Mar;22(3):564-71.

【目的】
 終末期がん患者の家族介護者は、ストレスや負担感など心的苦痛を経験する一方で、家族介護者となったことが肯定的な影響(positive consequences)を与えることもあると言われている。終末期がん患者の家族介護者となったことによる肯定的な影響に関連する要因について、遺族への質問紙調査により検討する。
【方法】
 33の緩和ケアサービスを利用した終末期がん患者の家族介護者であった遺族への全国的な質問紙調査を実施した。家族介護者となったことによる影響は、日本で開発された、Caregiving Consequence Inventory(CCI)(三条ら,2009)をもとに質問項目 を作成した。
 CCIは、価値を見出すことについての4ドメイン(熟達感、他人への感謝、人生の意味、価値観の再構築)と負担感についての1ドメインから構成されている。
【結果】
 2398の対象者のうち501の回答を得た(有効回答率20.9%)。遺族は、家族介護者であったことに対して高いレベルで価値も負担感も感じていた。遺族の個人的背景について、より高齢、女性、信仰している宗教があることは、CCIの価値を見出すことについてのいくつかのドメインと相関していた。一方、配偶者であることは、いくつかのドメインにおいて、負の関連が見られた。遺族の抑うつ状態や負担感は家族介護者となったことに価値を見出していることと関連は見られなかった。遺族ケアを受けた人ほど、家族介護者になったことに対して、より熟達感、他人への感謝、人生の意味、価値観の再構築といった価値を見出していた。
【結論】
 終末期がん患者の家族介護者は負担感を経験する一方で、家族介護者となることによる肯定的な影響も受ける。本研究では、遺族への介入が、家族介護者となったことの肯定的な影響を促進することを示唆する可能性が示された。
【コメント】
 本研究では、遺族ケアが、家族介護者となったことに価値を見出す助けになる可能性が示唆された。本研究では、価値を見出していることと遺族のQOLとの関連は検討されなかったが、今後の研究で、遺族ケアが、家族介護者となったことに価値を見出すことを促進し、それが遺族のQOLによい影響を与えるかどうかを明らかにすることにより、遺族ケアの重要性がより強調できると考えられる。

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