Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.59
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2013  59
Journal Club
終末期医療の話し合いの状況と終末期の積極治療の実施の関連
東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻 緩和ケア看護学分野
菅野 雄介

Mack JW,Cronin A,Keating NL,Taback N,Huskamp HA,Malin JL,Earle CC,Weeks JC.Associations between end-of-life discussion characteristics and care received near death: a prospective cohort study.J Clin Oncol. 2012 Dec 10;30(35):4387-95.

【目的】
 米国のガイドラインでは、治癒不能ながん患者に対して終末期医療に関する話し合いを早期に行うことが推奨されている。しかし、早期からの終末期医療に関する話し合いが死亡前の積極治療の減少につながるのかは明らかでない。本研究では、終末期医療の話し合いの状況(時期、医療者の同席、場所)と終末期の積極的治療との関連を検証する。
【方法】
 米国で2003年から2005年に肺がん・大腸がんと診断された患者約1万名の多施設前向きコホート研究(Cancer Care Outcomes Research and Surveillance Consortium)において、ステージIV期の肺がん・大腸がん患者で研究期間15ヶ月中に1ヶ月以上生存し死亡した1231名を対象とした。主要評価項目は、終末期の積極的治療として、死亡前14日間の化学療法、死亡前30日間の急性期医療(ER利用、14日以上の入院)、死亡前30日間のICU利用である。
【結果】
 死亡前に積極的治療を受けていた患者は47%であった。そのうち、死亡前14日間の化学療法が16%、死亡前30日間のICU利用が9%、死亡前30日間の急性期医療が40%であった。また、死亡前にホスピスを利用していた患者は58%であった。そのうち、死亡前3日以内の利用が8%、死亡前7日以内の利用が15%であった。死亡前30日以前に医師と終末期医療に関する話し合いをした患者は、死亡前14日間の化学療法(P=0.003)、死亡前30日間の急性期医療(P<0.001)、死亡前30日間のICU利用(P<0.001)が有意に減少し、早期からのホスピス利用が有意に増大した(P<0.001)。
【結論】
 早期からの終末期医療の話し合いは、積極的な終末期医療の減少とホスピス利用の増大に関連した。
【コメント】
 本研究は、米国のガイドラインが推奨する、治癒不能ながん患者に対して終末期医療に関する話し合いを早期に行うことを裏付けた研究である。コホート研究により、早期からの終末期医療に関する話し合いが終末期の積極的治療の減少とホスピス利用の増大に関連することが示された。早期から終末期医療に関する話し合いを行うことは、治癒不能ながん患者の意思決定支援につながるのではないかと考えられる。

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