Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.59
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2013  59
Journal Club
進行がん患者の倦怠感に対する看護師主導の身体症状の
モニタリング・治療プロトコルでの介入に関する無作為化比較試験
東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻 緩和ケア看護学分野
佐藤 一樹

de Raaf PJ,de Klerk C,Timman R,Busschbach JJ, Oldenmenger WH,van der Rijt CC.Systematic monitoring and treatment of physical symptoms to alleviate fatigue in patients with advanced cancer: a randomized controlled trial.J Clin Oncol. 2013;31(6):716-23.

【目的】
 進行がん患者の倦怠感に対する看護師主導の包括的な身体症状のモニタリング・治療プロトコルによ る介入の効果を検証する。
【方法】
 オランダのがんセンター1施設の腫瘍内科外来を受診し、NRS4以上の倦怠感を有する固形がん患者152名を対象に、非盲検化無作為化比較試験を行った。介入群に76名、対照群に76名を無作為に割り付け、1か月後のアウトカム測定を介入群71名、対照群66名で行った。介入群の患者は専門看護師の外来を4回受診(1週間以内、2-4週後、5-7週後、8-10週後)し、疼痛や嘔気などの倦怠感以外の9つの身体症状の評価を受けた。NRSで4以上の症状を認めた場合、看護師は医師に症状の原因を確認し、ガイドラインに準じた治療プロトコルによる治療や患者教育、薬剤調整、非薬物療法などにより複合的に介入した。対照群の患者は通常診療を受けた。ベースラインと1・2・3か月後の4時点で質問紙調査を行った。主要評価項目は倦怠感の評価尺度であるMultidimensional Fatigue Inventory (MFI) の一般的倦怠感の下位尺度を用いた。混合効果モデルを用いて群間と時点の交互作用を検討し、モデルによる倦怠感の予測値から効果量Cohen's d=予測値の差/標準偏差を算出した。
【結果】
 平均年齢58±10歳、女性57%、緩和的化学療法を65%が受けていた。主要評価項目である一般的倦怠感は対照群に対して介入群で有意に改善し(p=0.01)、介入群での倦怠感改善の効果量は1か月後d=0.26、2か月後d=0.36、3か月後d=0.27であった。副次的評価項目では、MFIの活動低下と意欲低下の下位尺度、倦怠感のNRS、倦怠感評価尺度Brief Fatigue Inventory の倦怠感による障害の下位尺度、QOL評価尺度EORTC QLQ-C30 の症状評価項目、不安と抑うつの評価尺度Hospital Anxiety and Depression Scale の不安評価についても介入群で有意に改善した。
【結論】
 中程度以上の倦怠感を有する進行がん患者に対し、看護師主導の包括的な身体症状のモニタリング・治療プロトコルは倦怠感の軽減に有効であった。
【コメント】
 併存する身体症状の治療を最適化することで進行がん患者の倦怠感が軽減することを示した初めての試験である。非盲検化、通常診療群での倦怠感アセスメントと治療の情報不足、小さな効果量、複合的介入のどの要素が効果的か不明といった限界から本研究の追試が必要である。しかし、有害事象を引き起こす可能性が低いと考えられ、倦怠感だけでなくその他の身体症状や不安を軽減し、QOLの向上にも寄与することから、本試験での身体症状に対する複合的介入は有用である可能性が示唆された。

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