Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.58
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2013  58
巻頭言
日本の緩和医療学会
千葉県立保健医療大学健康科学部 リハビリテーション学科
安部 能成
 本学会の学術大会には1999年の第4回大会から欠かさず参加している。当時、会員数は1,000人を超えたばかりの小さな団体であった。以来15年を経過しようとする今日、会員数は10,000人を超え、文字通り桁違いの状況である。昨年の第50回日本癌治療学会の関連学会連絡委員会でも、日本緩和医療学会は会員数で出席29学会の上位に認知された。
 ここでは会員数増加に比例して学会活動も充実してきているか、若干の考察を試みたい。手始めに本学会のホームページにアクセスすると今日的な学会概要がわかる。これは学会活動の進歩の第一にあげられる。現代は情報化社会であり、個人所有のコンピュータを用いて、手当たり次第に調べる時代となっている。したがって、本学会がホームページを持つことは、情報化社会で活動するための必須条件を満たしている。
これをみると、会員数の推移と職種の比率が明示されている。医師(48.6%)、看護師(35.0%)、薬剤師(10.2%)の3 職種で90% を超える。それ以外の職種が10% 足らず。この比率を国際比較的にみると、日本の緩和医療の特色を端的に表している。つまり、ソーシャルワーカー、リハビリテーション、カウンセラーという、近代ホスピスの発祥の地、あるいは緩和医療の先進諸国では広く活躍している職種の比率が極端に少ない。
 ところが、本学会が行っている緩和ケアチームの登録状況をみると、必ずしも国際社会とかけ離れていない。医師(100%)、看護師(99.8%)、薬剤師(98.5%)に加え、MSW(80.4%)、栄養士(66.2 %)、リハビリテーション(58.8%)、臨床心理士(54.5%)の参加がある。このような全国調査は厚生労働省にもなく、本学会の活動として見落とすことができない。
 本学会にはホームページ、ニューズレターがあるが、国内中心であり、国際社会に対する情報発信が弱い。日本語での情報量に比べ、英語での情報量は半減どころか桁違いに少ない。これでは国際社会での存在感は失われていく。インターネットの主要言語は英語が約5億人で第一位(2009 年末時点)であり、日本語中心では片手落ちである。
 本学会は日本緩和医療学会を名乗っているのに、国際社会への窓口を持っていなかった。たしかに、インターネットは情報収集には便利だが、それだけの道具ではない。英国やオーストラ リアは緩和医療に関する自国の情報を国際社会に発信している。わが国も同様に、自国の緩和医療の状況について情報発信してこそ国際社会の一員としての活動水準に本学会は到達することができる。新たに発足した国際交流委員会などを活用し、学会活動の国際水準を達成すべきである。

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