Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
学会印象記
第71回日本癌学会学術総会参加印象記
千葉県立保健医療大学  安部 能成
 爽やかさで知られる秋の北海道では珍しい土砂降りの中、札幌市の中心部に位置する3つの建物を会場として9月19日から21日にかけて「がん研究とライフサイエンスの更なるリエゾン」をテーマに、第71回日本癌学会学術総会が開催された。この会場群は2011年に第16回日本緩和医療学会が開催されたのと同じ場所であり、懐かしさを覚えた。
 最近10年間、1万6千人前後の会員数を推移させている日本癌学会は、札幌医科大学の佐藤昇志会長の総会でのアナウンスによると、第71回学術大会において4,500名の参加者、2,541演題を得て、盛況であった。本年6月、約1万人の会員数で6,500名を超える参加者の日本緩和医療学会は、会員数に占める参加者の比率は高いが、発表演題数では半分程度ということになる。
 癌の基礎研究から出発した本学会の特色は、学術表彰の多さに現れている。具体的には、日本癌学会奨励賞10名、吉田富三賞1名、長興又郎賞1名、JCA-Mauvemay Award 2名、JCA-CHAAO賞1グループ、アジア地域の若手研究者を対象としたCancer Science Young Scientists Award 3名であり、年次総会で表彰されるとともに学術集会での受賞講演もあった。その業績の評価対象は、癌の基礎研究にとどまらず、臨床分野の研究、そして、癌患者の治療に寄与した成果物を生み出した研究グループにまで及んでいる点が注目された。
 本学会において緩和医療をテーマとする発表がなされるようになって5年が経過した。今回は緩和ケアとして2演題、緩和ケアの特色であるQOLをキーワードとしたものが3演題あった。また、日本緩和医療学会の会員でもある下山直人氏が緩和医療の座長、照井健氏が支持療法の座長を務めていた。他方、Quality of lifeのセッションでは、少なくともWHOの2002年の定義とは一致しないQOL関連演題が集められているようであった。
 多数の演題を集めた抄録集は印刷物である。プログラムが429ページ、プロシーディングスが665ページあるが、著者別、キーワード別、座長別とインデックスが3種類あり、使いやすい。このあたり、まだ若い日本緩和医療学会との違いを感じさせられた。
 なお次回、第72回日本癌学会学術総会はシカゴ大学の中村祐輔会長のもとに2013年10月3〜5日、パシフィコ横浜で開催される。日本緩和医療学会の会員諸氏にも癌緩和医療に関する演題発表を期待したい。

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