Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
Journal Club
早期からの緩和ケアチームが関わることは
がん患者の疼痛マネジメントを行ううえで効果的であるか
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻 緩和ケア看護学分野  清水 恵
Bandieri E,Sichetti D,Romero M,Fanizza C,Belfiglio M.Buonaccorso L,Artioli F,Campione F,Tognoni, G,Luppi M.Impact of early access to a palliative/supportive care intervention on pain management in patients with cancer.Annals of Oncology 23(8): 2016-20.

【目的】
 がん患者に対して、がん診断後早期から緩和ケアチームのコンサルテーションを行うことはがん患者の疼痛マネジメンを行ううえでどのような効果があるかを検討する。
【方法】
 イタリアの32の病院のがん患者で、がん性疼痛に対する薬物治療を受けている1450人についての横断調査を実施した。プライマリーな医療者からのケアのみの標準的ケア群(SC群)602人、プライマリー治療やケアと並行して緩和ケアチームによるコンサルテーションを受けている群(がん診断後2〜3週間程度以内からコンサルテーション開始)(ePSC群) 848人について調査。
【結果】
 疾患、治療背景としては、転移のある患者はSC群71%、ePSC群89%とePSC群が有意に多く(P < 0.001)、オピオイド未使用患者は、SC群9.5%、ePSC群2%とSC群で有意に多く(P < 0.001)、強オピオイドの使用はSC群63 %、ePSC群80 %とePSC群が有意に多かった(P < 0.001)。24時間以内の強度の疼痛の有無では、SC群31 %、ePSC群17 %とePSC群で有意に少なかった(P < 0.001)。24時間以内の強度の疼痛の有無との関連について、ケアモデル(SC群/ePSC群)、病棟(腫瘍内科かそうでないか)、転移の有無、性別、年齢、薬物療法の種類を変数とした多変量解析の結果では、ePSC群であることが、強度の疼痛を減少させる有意な要因であった(相対危険比0.69, P=0.045)。
【結論】
 がん診断後早期からがん性疼痛マネジメントに緩和ケアチームが関わることの有効性が示唆された。今後はこの知見を実証するためのRCTが望まれる。
【コメント】
 日本においても「早期からの緩和ケア」が提言されている。しかし、実際の臨床においては、がん診断早期から緩和ケア専門家が患者の症状マネジメントに関わることは、わが国においてもまだまだ普及が進んでいないのが現実である。わが国にも、早期から緩和ケアを導入する取り組みを始めている病院もあり、海外においてこのような知見が示されたことは、少なからずも早期からの緩和ケアを普及させていくための追い風となるかもしれない。

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