Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
Journal Club
米国のホスピスケアを受けたがん患者での在宅死の関連要因
東北大学大学院緩和ケア看護学分野  佐藤 一樹
Jeurkar N, Farrington S, Craig TR, Slattery J, Harrold JK, Oldanie B, Teno JM, Casarett DJ. Which hospice patients with cancer are able to die in the setting of their choice? Results of a retrospective cohort study. J Clin Oncol. 2012;30(22):2783-7.

【目的】
 米国のホスピスケアを受けた終末期がん患者の在宅死の希望と在宅死の関連要因を検討する。
【方法】
 米国のフロリダ州・ペンシルベニア州・ウィスコンシン州の3つのホスピス・プログラムを2008年10月から2011年3月に利用したがん患者7,391名を対象とした。ホスピスは研究組織であるCHOICEの参加施設とし、電子入力する共通の患者登録シートを用いた。調査項目は、ホスピスケア開始時の死亡場所の希望、患者背景や病歴、疼痛、Palliative Performance Scale (PPS)、ホスピスケア開始後4日間での訪問診療・看護回数とした。
【結果】
 ホスピスケア開始時に死亡場所の希望を有する患者は79%(5,837名)であった。死亡場所の希望は、在宅74%、ナーシングホーム9.7%、ホスピス病棟4.4%、病院0.6%であった。多変量解析の結果、在宅死の希望の独立した関連要因は、既婚であることOR=2.21、白人であることOR=2.21、若いことOR=0.97、ホスピスの2施設利用OR=2.17であった。
 研究期間中に死亡した3,561名の死亡場所は、在宅53%、ナーシングホーム6.9%、病院11.3%、ホスピス病棟28%であった。多変量解析の結果、在宅死の独立した関連要因は、在宅死亡の希望を有することOR=2.21、既婚であることOR=1.32、事前指示を有することOR=1.82、中程度以上の疼痛を有さないことOR=0.57、ホスピスの2施設利用OR=1.38であった。
 ホスピスケア開始時に在宅死を希望した在宅療養患者3,153名での在宅死の独立した関連要因は、多変量解析の結果、既婚であることOR=1.35、事前指示を有することOR=2.11、中程度以上の疼痛を有さないことOR=0.56、ホスピスケア開始後4日間での訪問診療・看護があったことOR=1.23、ホスピスの2施設利用OR=1.58、PPSが低いことOR=0.53、ホスピスケア日数が短いことOR=0.99であった。
【結論】
 ホスピスケアを受けた終末期がん患者の在宅死の希望と在宅死の関連要因が明らかとなった。
【コメント】
 著者らは、在宅死を希望する進行がん患者がその希望を実現するためのホスピスの役割として4つの示唆を考察した:第1に、ホスピスケア開始時に死亡場所の希望の質問を組み込むこと;第2に、疼痛緩和や事前指示など在宅死の関連要因について、必要な患者に適切なケアを提供すること;第3に、ケアの目標を明らかにすること;第4に、職員配置や理念など本研究で検討していない重要な要因の可能性にも注意することである。この結果は、文化や医療制度が異なるためわが国に外挿することはできない。わが国での在宅ケアの質改善のために、在宅医療機関へのアクセスの改善とともに、在宅ケアを受ける患者の死亡場所やその要因に関する詳細な調査が必要である。

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