Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
口演14
訪問看護、QOL評価、小児緩和ケア、患者・家族の教育
座長・報告  高知県立大学看護学部  藤田 佐和
 本セッションでは、訪問看護ステーションでの緩和ケアへの取り組み、小児の在宅緩和ケア、病棟や外来での薬剤指導やセルフケア支援、遺族による終末期医療の評価など、様々なテーマの9演題が発表された。
 訪問看護について、在宅緩和を実践する訪問看護師のケアの質を向上させ、訪問看護師の役割周知を目的とする緩和ケア訪問看護ステーション連絡会を立ち上げ、訪問看護師が医師とチームを組み、24時間対応によるがん患者の急激な変化への対応や看取りを行っているという報告や、訪問看護ステーションが併設病院の緩和ケアチームに加わり、在宅支援部門としてがん患者の支援を行い、ステーションが在宅療養のコーディネーター的役割を担うことで緩和ケアメンバーが在宅医に紹介する環境が整い、また訪問看護師の症状マネージメント能力が向上したという報告があった。在宅看取り率の高い在宅緩和ケア専門診療所の訪問看護師は、一貫して患者と家族の言葉や思いを重要視するアセスメントや、統一されたケア方法、現場で迅速に問題解決できるシステムを構築することで、患者・家族の希望に添った自宅での看取りを支援しているという報告があり、地域の特性に合わせてそれぞれが看取り支援に最善を尽くしている姿が浮き彫りにされた。
 小児の特殊性への専門的な配慮が必要不可欠である小児の在宅緩和ケアについて、2演題の報告があった。小児を専門とする在宅医や専門の異なる小児科医、緩和ケア経験の乏しい在宅の医療者が関与せざる得ない実態の中で、家族の思いに添い、緊急時の対応を含む連携システムはもちろんですが、小児の専門家の助言が得られる支援体制、コンサルテーションシステムの整備の必要性が報告され、今後新たに取り組む課題が提示された。
 入院患者のオピオイドの理解度を上げるために看護師と薬剤師によるポスターやパンフレット活用の効果や外来における薬剤師の薬剤管理の指導効果を検証した2つの演題では、知識の普及効果や薬剤の適正使用や副作用症状のコントロールに寄与できるという報告があった。また、外来放射線治療中の患者の疼痛管理において、看護師の問診による痛みの変化の把握、患者との共通目標をもつことで患者の自己対処行動を促すことにつながり、さらに患者は診察時に自ら医師に相談することができるようになったという成果が報告され、参加者の施設での取り組みも同様に成果があるのではないかという後押しとなり勇気づけられる発表であった。
 最後に、国内で初めてがん以外の疾患を含む遺族調査が行われ、がん・脳卒中・心疾患の遺族による終末期医療の評価が報告され、満足度、身体的ケア、改善点、からだの苦痛などどの項目においても、がんだけでなく脳卒中、心疾患の終末期医療にも改善が必要な点が多いことが報告され、今後はがん以外の疾患を持つ方々へも緩和ケアを普及、展開していく必要性が示唆された。
 いずれの演題も日頃の活動に根差し、かつ有意味な発表内容であり、質疑応答を通して学会テーマの「ひろく ふかく たかく」を実感できるセッションとなりました。発表者にエンパワメントされ、参加者とともに多くの学びを共有させていただき、ありがとうございました。

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