Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
口演10
身体症状、セデ―ション、オンコロジーエマージェンシー
座長・報告  綜合病院 山口赤十字病院  末永 和之
 本セッションは身体症状、セデーション、オンコロジーエマージェンシーについて合わせて9題の発表があった。
 そのうち3題は腹水濾過濃縮再静注療法(CART,KM-CART)であった。CARTは腹水を可能な限り抜き取った後に、腹水中のがん細胞や細菌などを除去し、濃縮処置にて余分な水分を除水し濃縮し、身体に必要な蛋白成分(アルブミン、グロブリン)を回収して血管内に返し再利用することによって患者の栄養状態、免疫状態を改善すると言われているが、従来のCART(腹水濾過濃縮再静注法)の欠点を改良したのがKM-CARTであった。濾過膜を内圧方式(管の内から外へ濾過)から外圧方式(管の外から内へ濾過)に変更することによって?、濾過膜の目詰まりを簡単に回復させる膜洗浄機能を追加し、一般的な輸液ポンプと吸引器も利用できるようにした非常に簡便な装置になった。またがん細胞の採集が可能で今後の抗がん剤治療の開発や樹状細胞ワクチン療法への道を開くものであるとの指摘があった。いずれの演題も難治性腹水患者の臨床症状やQOLを改善した報告であった。
 がん悪液質などの身体症状の改善に対する報告が3題であった。漢方薬の補中益気湯ががん悪液質の改善に役立つとの報告、ステロイドの投与が予後予測の見込める患者に有効であるとの報告、また、大量デキサメサゾン投与が横断性脊髄炎の改善に役立つとの報告がみられた。
 鎮静に対する演題が2題あり、緩和ケアチームと緩和ケア病棟での鎮静の違いや鎮静の施行に対する多職種チームカンファレンスでの検討の必要性が指摘された。また、がん治療医、緩和ケア医、看護師、薬剤師によるチーム介入によって緩和ケア医の早期からの介入が症状改善に役立つとの報告もあった。
 このセッションではがん患者の症状緩和への取り組みが色々な視点から取り組まれている発表であった。

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