Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
口演6
疼痛
座長・報告  松江市立病院 緩和ケア・ペインクリニック科  安部 睦美
 今回の学会は「緩和医療・緩和ケア」の学会にふさわしく、コメディカルを含めた参加者に好評だった。現場の患者さん・ご家族へのフィードバックがしやすい学会であったと思う。さて1日目の第12会場での「疼痛」のセッションでは、新たな薬剤トラマドール、プレガバリン、オピオイド、骨転移に関する内容、代替療法と多岐にわたる面からの発表であった。それぞれ、演題1はトラマドールはマネジメントの困難な骨転移の体動時痛に有効な薬剤である、演題2は緩和ケアチーム(PCT)の介入する骨転移の患者はSREの合併例が多く、結果として予後の悪い傾向であった、演題3は硝子体手術後のフェイスダウンポジションに対してのアロマセラピーの介入が身体的苦痛に効果を認めた、演題4はプレガバリンの脱カプセル化により低用量からの処方が可能で、副作用なく鎮痛用量まで増量ができた、演題5はトラマドール導入により、疼痛コントロールの質を低下させることなく、経済的負担も軽減できた、演題6はオピオイド投与のアドヒアランスは、自己管理が可能と考えられる年齢層(特に男性)で低く、服薬指導の必要性を示唆した、演題7はフェンタニル貼付剤では高用量でも面積が大きくならない製剤の開発が臨まれる、演題8はmultidrug resistance1遺伝子は種々の薬剤排出に関わる遺伝子とされており、この遺伝子の型によりオピオイドの至適投与量が異なることが示唆され、早期より細かな投与量の検討が必要である、演題9は骨転移による体動時痛にリハビリが介入することで、ADLの改善が認められた、という内容で報告があった。アロマセラピーの身体的苦痛への介入、トラマドールの新たなる役割、骨転移の痛みに対してのPCTの役割、またリハビリの必要性、オピオイドの使用には個々に対応が必要であるということなど、「疼痛」のセッションには相応しい内容であったと思われる。がんの痛みをマネジメントするわれわれは、常に「病気をもった一人の人」としてtotalに介入していくことの必要性を感じながら座長の任を終えた。ご発表の皆様お疲れ様でした。

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