Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.57
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2012  57
口演3
疼痛、全身倦怠感
座長・報告  岡山大学病院 麻酔科 蘇生科  西江 宏行
 朝一番目であったにも関わらず、大勢の方にお越しいただき有意義なセッションであった。山川先生(六甲病院)からはトラマドールを10〜15mgと少量で開始し嘔気を回避する報告があった。コンプライアンスを重視したアイデアである。フロアからはリン酸コデインとの違いについての質問があった。周東先生(国立がん研究センター中央病院)はCYP3A4阻害作用を有する抗菌剤により鎮痛薬の血中濃度が上昇することを報告した。呼吸抑制など重篤な有害事象を生じる可能性もあり、われわれは知っておかなくてはならない貴重な報告である。西別府先生(横浜市立市民病院)と栗山先生(和歌山県立医科大学)はプレガバリンと副作用についての関係を報告した。年齢や腎機能よりも性差の方がふらつきに影響するという興味深い内容であった。仁熊先生(姫路赤十字病院)はフェンタニルからモルヒネへのローテーションの時には換算表の通りにすると過量になる可能性を報告した。確かにフェンタニルを大量投与しても効果が不十分な場合がある。今後はこの機序が解明できればと感じた。鈴木先生(がん・感染症センター都立駒込病院)の報告からは緩和ケアチームが積極的にオピオイドローテーションの啓蒙に努めていることが伺えた。高木先生(国立長寿医療研究センター)は全身倦怠感をフェイススケールで評価した。倦怠感は、痛みと同様に評価がしにくい。それを定量化することで情報を共有しつつ症状緩和に努めている姿勢が伺えた。内山先生(磐田市立総合病院)は運動介入により倦怠感が改善し、活動性が上昇することを報告した。患者は治療に際して受身になりやすい。運動介入は患者自身が治療に参加するという意識が生まれるため倦怠感や痛みにも有効なのではないかと感じている。全体的には議論も活発に行われ、会員の痛みや倦怠感に対する興味の高さを感じた。あえて一言だけ述べると、特に若手の参加者に積極的な発言をお願いしたい。発表者と直接コミュニケーションがとれることが学会に参加する醍醐味である。参加者には何か一つでも持ち帰って明日からのケアに役立てていただければこの上ない喜びである。

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